目次
- 1 「内定待機」の特定活動ビザとは?
- 2 内定待機の特定活動ビザへの在留資格変更許可申請の必要書類
「内定待機」の特定活動ビザとは?
内定待機のための特定活動ビザとは、現に「就職活動のための特定活動ビザ」で在留していた外国人が、内定を得たことを契機として、内定後採用までの期間を日本で過ごすための在留資格のことをいいます。
現に有する「就職活動のための特定活動ビザ」は、「就職活動をする」ためだけの在留資格であるため、内定先が決まった時点で「内定待機のための特定活動ビザ」に変更許可申請をする必要があります。

内定待機の特定活動ビザの「対象者」は?
継続的就職活動を目的として「特定活動」の在留資格で在留している者が、その在留中に就職先が内定し、内定後1年以内であって、かつ、卒業後1年6月以内に採用される場合において、内定先の企業において従事する活動が「技術・人文知識・国際業務」など就労ビザの活動に合致する者が対象です。
内定待機の特定活動ビザが許可される「条件」は?
①外国ではなく日本の教育機関を卒業したこと又は日本の教育機関の課程を修了したこと
②現在、継続的就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格を有していること
③採用日が、内定後1年以内であって、かつ、卒業後1年6月以内であること
④内定先の活動が、就労ビザの要件を満たしていること
⑤内定者の在留状況に問題がないこと(法定時間を超えたアルバイトをしていないこと等)
⑥内定者と一定期間ごとに連絡をとること,内定を取り消した場合は遅滞なく地方出入国在留管理局に連絡することについて内定先の企業が誓約すること
内定待機の特定活動ビザを申請するタイミング・時期は?
就職活動のための特定活動ビザから内定待機のための特定活動ビザへの在留資格変更許可申請は、内定が決まってから3カ月以内で、可能なかぎり速やかに行なう必要があります。
なぜなら、内定が決まったにもかかわらず、3カ月以上就職活動のための特定活動ビザのままでいると、在留資格取消しの対象となるからです。

留学ビザから「内定待機」の特定活動ビザに直接変更することはできますか?
9月卒業者は認められる可能性が十分あります
大学等を9月に卒業する者が、在学中に就職先が内定し、採用日が翌年の4月であるときには、現在の在留資格が留学でも許可される可能性があります。
卒業後3カ月を超えているときは、在留資格取消しの対象です
いっぽう、卒業後に継続的就職活動をしていたにもかかわらず、就職活動のための特定活動ビザに変更することを怠っていたときは、在留資格該当性を失っている状態であり、在留資格取消しの対象であることもあるので、許可のハードルが高くなります。
具体的には、卒業してからの期間(卒業から3カ月以上経過しているときは、入管法22条の4により在留資格取消しの対象となっていることに注意してください。)、卒業後の状況、就職活動のための特定活動ビザの申請をしなかったことの理由などを総合的に勘案して許可・不許可が決定されますので、ビザ専門の行政書士に必ず相談しましょう。
入管法 第二十二条の四 在留資格の取消し
法務大臣は、別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する外国人(第六十一条の二第一項の難民の認定を受けている者を除く。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。
六 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

内定待機の特定活動ビザでアルバイトはできますか?
留学ビザと同じ扱いです。つまりそのままでは就労不可ですが、別記事「資格外活動許可とは」でご説明している資格外活動許可を得れば法定の制限内でアルバイトをすることができます。
なぜ同じ在留資格のように見えるのに、在留資格変更許可申請が必要なの?
「就職活動のための特定活動ビザ」と「内定待機のための特定活動ビザ」は、一見すると同じ在留資格のように見えますが、別の在留資格です。
特定活動の在留資格は、法務大臣が一人一人に個別の活動を指定しており、その活動ごとに別々の在留資格を形成していると観念されています。
別記事「特定活動とは」でくわしく解説していますが、特定活動は法務大臣から「指定書」で指定された活動以外の活動をすることができず、それをするときには、在留資格変更許可申請を申請して法務大臣から新たな活動の指定を受けることが必要となります。

指定書とは?
指定書とは、特定活動ビザが許可されるときにパスポートにホチキス留めされる公文書のことで、法務大臣から指定される活動の内容が記載されています。

就職活動のための特定活動ビザの「指定書」の内容とは?
就職活動のための特定活動ビザをお持ちの外国人のパスポートには、次のように書かれた指定書がホチキス留めされているはずです。
就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
内定を得て就職活動を終了した以上は、法務大臣から指定された活動をしていないこととなり、在留資格適合性を失っています。よって、法務大臣から次の活動を指定してもらう必要があるのです。
内定待機のための特定活動ビザの「指定書」の内容とは?
内定待機のための特定活動ビザが許可されると、パスポートには次のように書かれた指定書がホチキス留めされます。
注意点として、「指定書」には内定先の企業名が指定されるため、この企業(A社)と別の企業(B社)からさらに内定を受けそちらに就職するときには、在留資格変更許可申請をして「指定書」の内定先企業名を変更する必要があります。
A社を内定先として取得した「内定待機のための特定活動ビザ」から、B社を就職先とする就労ビザへ変更することはできませんので注意してください。
「企業名」に令和〇〇年〇〇月〇〇日から雇用されることとなっている者が同日までの間に行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
内定待機の特定活動ビザへの在留資格変更許可申請の必要書類
就職活動のための特定活動ビザと異なり、就職先がすでに決まっていることから、4の必要書類で就労ビザの要件の立証に失敗したときには不許可となります。
したがって、事実上は就労ビザの事前審査が始まっており、就職活動のための特定活動ビザよりも慎重に行なう必要があります。
必要書類1:在留資格変更許可申請書 1通
必要書類2: 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
※ 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
必要書類3:申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書 適宜
※ 当該申請人以外が経費支弁をする場合には,その者の支弁能力を証する文書及びその者が支弁するに至った経緯を明らかにする文書
必要書類4:内定した企業において,採用後に行う活動に応じて変更することとなる,就労に係る在留資格への在留資格変更許可申請に必要な資料
※就労ビザの条件と必要書類は別記事「就労ビザとは」および「技術・人文知識・国際業務」でくわしく解説しています。
必要書類5:内定した企業からの採用内定の事実及び内定日を確認できる資料 1通
必要書類6:企業が作成する誓約書(PDF) 1通
必要書類7:採用までに行う研修等の内容を確認できる資料(該当する活動がある場合に限る。) 適宜
