海外に住む外国人や日本の学校で学ぶ留学生が日本で働くことを希望するときは、就労ビザを取得する必要があります。
しかし実は「就労ビザ」という呼称は日常用語であって、法律用語ではありません。
このため「就労ビザ」についてどこか分かったようで分からない印象をお持ちのかたが多いようです。
この記事では、ビザを専門とする行政書士が、日本の就労ビザについてその種類から申請方法、更新にいたるまで徹底的に解説します。
就労ビザとは?
日本は「在留資格制度」をとっており、外国人が合法的に日本に滞在するためには、米軍関係者など一部の例外を除いて、何らかの在留資格をもっていることが必要です。
在留資格は日本における合法的な滞在資格とでもいうべきもので、海外から外国人が来日した時に空港での上陸審査の結果、29種類ある中から1つが与えられます。
在留資格は様々な滞在目的のために設けられており、観光目的であったり、家族と時間を共にする目的であったり、医療を受ける目的であったり、就労目的であったりします。
就労ビザとは、このように日本に29種類ある在留資格のうち、就労を目的として設けられた在留資格の総称として使われる言葉です。

「就労」の観点から在留資格を分類
29種類ある「日本における合法的な滞在資格」としての在留資格は、就労という観点から分類するとつぎのようになります。
①就労に制限のない在留資格
②法律で認められた範囲内で就労が可能な在留資格
③原則として就労はできないが、資格外活動許可という特別な許可を得ると週28時間まで就労ができる在留資格
④就労が可能かどうかは、個々人ごとに決められている在留資格
①の「就労に制限のない在留資格」とは永住者、定住者や日本人と結婚した方などに与えられる「身分に基づく在留資格」です。
これらの外国人は日本と結びつきの強い方がたなので、日本での就労に制限はなく、あらゆる業種・職種で、時間制限なく働くことができます。
日本の外国人労働者172万人のうち、31.7%の54万人がこのカテゴリーの方々です。
②の「法律で認められた範囲内で就労が可能な在留資格」がいわゆる就労ビザです。就労のために日本に滞在されている方なので、相応の技能や学歴などを証明することにより在留資格を得ています。
これら就労ビザで滞在し、日本でフルタイムで働いている外国人労働者は、全体の20.8%となります。
③の「原則として就労はできないが、資格外活動許可という特別な許可を得ると週28時間まで就労ができる在留資格」には、留学や家族滞在があります。
留学生は学業が本分で日本に滞在していますから、原則として就労はできませんが、出入国在留管理局から「資格外活動許可」を得ると、アルバイトとして働くことができるようになります。
家族滞在とは、就労ビザで働いている外国人の配偶者や子に与えられる在留資格です。こちらも資格外活動許可を得ればアルバイトをすることができます。
資格外活動許可については別記事「資格外活動許可とは」をご確認下さい。
④の「就労が可能かどうかは、個々人ごとに決められている在留資格」は特定活動とよばれる在留資格です。
この在留資格は、その在留資格の名称だけでは、就労可能か否か判別ができません。なぜなら特定活動は、法務大臣が個人ごとに、日本での活動内容を決めるからです。
働いてよいですよと判断される方もいれば、働いてはいけないと判断されている方もいます。その法務大臣の判断は、パスポートにホチキス止めされる「指定書」で確認することができます。
よって、特定活動の在留資格をもつ外国人が就労可能であるか否かの確認は、在留カードと「指定書」の両方の記載により行ないます。
特定活動は特殊な在留資格なので、求職者が特定活動ビザのときは、別記事「特定活動」をご確認ください。

ここで就労ビザの正確な理解のために、3つのポイントをお伝えします。
「就労ビザ」という言葉は俗称です
まず1つ目は、「就労ビザ」という言葉は日常用語であって、法律用語ではないという点です。
「就労ビザ」という言葉を使うとき、多くの人が「外国人が日本で合法的に働くための法的な資格」という意味でつかわれているわけですが、日本の法律のどこを探しても、「就労ビザ」という言葉は使われていませんし、正式な定義もありません。
この記事では、冒頭に掲げた「就労を目的として設けられた在留資格」という意味で使用します。
ビザ(査証)と在留資格は別ものです
入管法という法律上は、ビザ(査証)と「滞在資格である在留資格」は完全に別モノです。
ビザ(査証)とは、外国人が海外から日本に入国するときに、空港や海港における上陸審査を受けることになりますが、その審査で必要となる「入国推薦状」のことをいいます。
ビザ(査証)は「入国推薦状」を超えた意味を持ちませんので、日本への上陸が許可されてしまえば、役目は終わります。
日本への上陸が許可された後、日本に合法的に滞在するために必要なのは、査証ではなく、空港や海港で入国審査官から与えられる「在留資格」です。
入国時に「点」で必要となるビザ(査証)と、入国後に「線」で必要となる在留資格を区別して理解しましょう。
ビザ(査証)については、別記事「ビザとは」でくわしく解説していますのでそちらをご確認下さい。
「就労可能な在留資格」と「就労のために設けられた在留資格」はイコールではありません。
就労ビザは「就労のために設けられた在留資格」の総称ですが、これは「就労可能な在留資格」とイコールではありません。就労ビザ以外にも、就労することができる在留資格はあります。

たとえば、配偶者ビザ(日本人の配偶者等)は就労ビザではありませんが、就労をすることが可能です。
上図からお分かりのように、日本で就労する外国人で最も人数が多い在留資格のカテゴリーは、永住者など「身分に基づく在留資格」です。

就労ビザの選択のしかた
ステップ1:フルタイム雇用かアルバイト採用かを確定する
企業が外国人を採用するとき、まずは、フルタイム雇用したいのかアルバイト採用で間に合うのかを判断します。

留学生をフルタイム雇用することはできませんので、フルタイム雇用するときは就労ビザの外国人か、永住者など身分に基づく在留資格をもつ外国人を雇用することとなります。
いっぽう、就労ビザをもつ外国人を副業でアルバイト雇用することは制度上できる場合とできない場合とがありますので、別途「資格外活動許可とは」の記事をご確認ください。
留学生や家族滞在の外国人をアルバイト採用するときのルールについても「資格外活動許可とは」でくわしく解説しています。留学生のアルバイト代については、原則として所得税を源泉徴収しますが、租税条約によって免除されているときがあります。くわしくは別記事「留学生アルバイト代 の源泉徴収」で解説しています。
ステップ2:仕事内容を確定させる
フルタイムで外国人を採用をするときには、とりあえず採用した後で与える仕事を考えるということはできません。なぜなら、仕事内容によっては該当する就労ビザが用意されていないこともありますし、そもそも仕事内容によって申請する就労ビザが異なるためです。
外国人従業員に「専門業務のみ」を担当してもらいたいときは、専門性の中身によって、従来型の就労ビザの中から、仕事の内容によって就労ビザを選択します。
たとえばプログラミングの仕事であれば「技術・人文知識・国際業務」、大学教員であれば「教授」、料理人であれば「技能」の就労ビザをすることとなります。
外国人従業員に担当してもらう業務の中心は専門業務であるが、一部に非熟練労働(単純労働)が含まれる場合には、「特定活動46号」という在留資格を選択する以外に道はありません。
なぜなら、一般的な就労ビザにおいては、非熟練労働に関与することはいっさい認められていないからです。
外国人従業員に担当してもらう業務の大半が非熟練労働(現業)であるときは、「特定技能」以外に選択肢はありません。
就労ビザの種類と期間は?
就労が認められる在留資格(いわゆる就労ビザ)
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
外交 | 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 | 外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族 | 外交活動の期間 | |
公用 | 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。) | 外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 | 5年,3年,1 年,3月,30日又は15日 |
|
教授 | 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動 | 大学教授等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
芸術 | 収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動(この表の興行の項に掲げる活動を除く。) | 作曲家,画家,著述家等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
宗教 | 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
報道 | 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 | 外国の報道機関の記者,カメラマン | 5年,3年,1年又は3月 | |
高度専門職 | 1号 高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの |
イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動 | ポイント制による高度人材 | 5年 |
ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 | ||||
ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 | ||||
2号 1号に掲げる活動を行った者であって,その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動 イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導又は教育をする活動 ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動 ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動 ニ 2号イからハまでのいずれかの活動と併せて行うこの表の教授,芸術,宗教,報道,法律・会計業務,医療,教育,技術・人文知識・国際業務,介護,興行,技能,特定技能2号の項に掲げる活動(2号イからハまでのいずれかに該当する活動を除く。) |
無期限 | |||
経営・管理 | 本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。) | 企業等の経営者・管理者 | 5年,3年,1年,6月,4月又は3月 | |
法律・会計業務 | 外国法事務弁護士,外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 | 弁護士,公認会計士等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
医療 | 医師,歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 | 医師,歯科医師,看護師 | 5年,3年,1年又は3月 | |
研究 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(この表の教授の項に掲げる活動を除く。) | 政府関係機関や私企業等の研究者 | 5年,3年,1年又は3月 | |
教育 | 本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 | 中学校・高等学校等の語学教師等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
技術・人文知識・国際業務 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,介護,興行の項に掲げる活動を除く。) | 機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師,マーケティング業務従事者等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
企業内転勤 | 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動 | 外国の事業所からの転勤者 | 5年,3年,1年又は3月 | |
介護 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動 | 介護福祉士 | 5年,3年,1年又は3月 | |
興行 | 演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。) | 俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等 | 3年,1年,6月,3月又は15日 | |
技能 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
特定技能 | 1号 | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(入管法 第2条の5第1項から第4項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 |
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人 | 1年,6月又は4月 |
2号 | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人 | 3年,1年又は6月 | |
技能実習 | 1号 | イ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動 | 技能実習生 | 法務大臣が 個々に指定する 期間(1年を超えない範囲) |
ロ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動 | ||||
2号 | イ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | 法務大臣が 個々に指定する 期間(2年を超えない範囲) |
||
ロ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | ||||
3号 | イ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | 法務大臣が 個々に指定する 期間(2年を超えない範囲) |
||
ロ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 |
就労に制限がない身分・地位に基づく在留資格
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
文化活動 | 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(この表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。) | 日本文化の研究者等 | 3年,1年,6月又は3月 | |
短期滞在 | 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポ―ツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 | 観光客,会議参加者等 | 90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間 | |
留学 | 本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動 | 大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒 | 4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月 | |
研修 | 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。) | 研修生 | 1年,6月又は3 月 |
|
家族滞在 | この表の教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,文化活動,留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 | 在留外国人が扶養する配偶者・子 | 5年,4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3 月 |
就労の可否は個別に指定される在留資格
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
特定活動 | 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 | 外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福 祉士候補者等 |
5年,3年,1 年,6月,3月又は法務大臣が 個々に指定する 期間(5年を超えない範囲) |
原則として就労が認められない在留資格
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
永住者 | 法務大臣が永住を認める者 | 法務大臣から永住の許可を受けた(「特別永住者」を除く。) | 無期限 | |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 | 日本人の配偶者・子・特別養子 | 5年,3年,1年 又は6月 | |
永住者の配偶者等 | 永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 | 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続 き在留している子 |
5年,3年,1年 又は6月 |
|
定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 | 第三国定住難民,日系3世,中国残 留邦人等 |
5年,3年,1 年,6月又は法 務大臣が個々に 指定する期間(5年を超えない範囲) |
就労ビザの申請方法は?
海外に居住する外国人を採用し招へいするとき
〇ステップ1:就労ビザの要件充足と立証可能性の検討
就労ビザは在留資格ごとに、本人の学歴や実務経験にかんする要件と、仕事内容についての要件を設けています。
要件を満たしていなければ就労ビザを申請しても不許可となり、本人も会社も無駄な手間と労力になりますので、まずは入管法が要求する要件を満たすことができるのかを検討します。
また要件を満たしていたとしても、たとえば実務経験のように書面で立証することが困難な場合もあります。要件を満たしていることの立証責任は申請人側にあるとされているため、立証可能性についても検討します。
大学を卒業しているといっても「卒業証明書」を用意できないのであれば立証が不可能であるとの同じく、これだけの実務経験があるといっても、書面で立証できないときには、たとえ本人の主張が信用できると思ったとしても、採用を断念しなければならないときがあります。
〇ステップ2:雇用契約の締結
就労ビザの申請書類には、雇用契約が含まれているため、就労ビザを取得してから雇用契約を締結するのではなく、就労ビザの申請の前に雇用契約を締結する必要があります。
当然のことではありますが、雇用契約の内容は就労ビザの要件充足が確認できることと、日本の各種の労働法規に適合している必要があります。
〇ステップ3:在留資格認定証明書交付申請
外国人を海外から招へいするときには、まず日本の出入国在留管理庁に対して、在留資格認定証明書交付申請を行います。
もし出入国在留管理局が当該申請について就労ビザの要件を満たしていると判断したときには、「在留資格認定証明書」が交付されます。
審査期間はおおむね2か月前後かかります。
〇ステップ4:査証申請
外国人は「在留資格認定証明書」とパスポートなど必要書類を日本の在外公館に提出し、査証を申請します。審査期間は5業務日です。
査証については別記事「ビザとは」でくわしくご説明しています。
〇ステップ5:上陸許可
パスポートに査証を貼付された外国人は、その有効期限内に来日し、空港で上陸審査を受けます。許可されると、主要空港においてはその場で在留カードが交付されます。
在留カードには許可された在留資格、在留期限、氏名、国籍、生年月日、顔写真などが記載され、外国人にとって基本的な身分証明書として機能します。くわしくは「在留カードとは」で解説しています。
〇ステップ6:勤務開始
外国人の住居地の市区町村役場での住民登録を済ませて勤務開始です。外国人も社会保険の対象ですので手続きを行ないます。くわしくは別記事「外国人の社会保険」でご説明しています。
日本に居住する外国人を採用するとき
〇ステップ1:就労ビザの要件充足と立証可能性の検討
就労ビザは在留資格ごとに、本人の学歴や実務経験にかんする要件と、仕事内容についての要件を設けています。
要件を満たしていなければ就労ビザを申請しても不許可となり、本人も会社も無駄な手間と労力になりますので、まずは入管法が要求する要件を満たすことができるのかを検討します。
また要件を満たしていたとしても、たとえば実務経験のように書面で立証することが困難な場合もあります。要件を満たしていることの立証責任は申請人側にあるとされているため、立証可能性についても検討します。
大学を卒業しているといっても「卒業証明書」を用意できないのであれば立証が不可能であるとの同じく、これだけの実務経験があるといっても、書面で立証できないときには、たとえ本人の主張が信用できると思ったとしても、採用を断念しなければならないときがあります。
また、すでに日本に居住する外国人を採用するときには、これまでの在留状況を確認することがとても大切です。
在留資格の変更や更新申請の時には「素行の善良性」が審査項目に加わるため、たとえば留学生が法律の制限時間を超過してアルバイトをしていたときなどは、在留不良者として就労ビザが許可されない可能性が高くなります。
〇ステップ2:雇用契約の締結
就労ビザの申請書類には、雇用契約が含まれているため、就労ビザを取得してから雇用契約を締結するのではなく、就労ビザの申請の前に雇用契約を締結する必要があります。
当然のことではありますが、雇用契約の内容は就労ビザの要件を充足するとともに、日本の各種の労働法規に適合している必要があります。
〇ステップ3:在留資格変更許可申請または就労資格証明書交付申請
◇新卒採用のとき
新卒者など外国人がはじめて日本の就労ビザを申請するときには、出入国在留管理庁に対して、在留資格変更許可申請を行います。出入国在留管理局については別記事「入国管理局とは」でくわしく解説しています。
留学生を採用するときでまだ卒業をしていないときでも、「卒業見込証明書」があれば申請をすることができます。
ただし最終的に許可を得るためには、「卒業証明書」を申請後に追加提出する必要があります。
もし出入国在留管理局が当該申請について就労ビザの要件を満たしていると判断したときには、新しい在留カードが交付されます。
◇中途採用(転職)のとき
すでに就労ビザをお持ちの外国人が、在留資格の範囲内で転職をするときには、つぎの在留期限が到来するまで、在留資格の申請をする必要はありません。
ただし転職した事実を出入国在留管理局に対して届け出る入管法上の義務があります。届出はオンライン上で行なうことができますので手間はかかりません。
在留資格申請の必要がないことから、出入国在留管理局の判断を得ずにそのまま就労を開始し、つぎの在留期間更新申請においてビザの要件を満たしていないと判断されて不許可となってしまうと、転職先での就労が不法就労であったことが後から判明することになります。
そうすると、本人は「専ら資格外活動を行っていたことが明らかである」として退去強制事由に該当し強制送還となる可能性が少なからずあり、雇用主側も不法就労助長罪に問われる可能性がでてきます。
このような危険を回避するため、転職をしたタイミングで入管に資格該当性を確認してもらう任意の手段として、就労資格証明書交付申請があります。くわしくは別記事「就労資格証明書とは」で解説しています。
〇ステップ4:査証申請
外国人は「在留資格認定証明書」とパスポートなど必要書類を日本の在外公館に提出し、査証を申請します。審査期間は5業務日です。
査証については別記事「ビザとは」でご説明しています。
〇ステップ5:上陸許可
パスポートに査証を貼付された外国人は、その有効期限内に来日し、空港で上陸審査を受けます。許可されると、主要空港においてはその場で在留カードが交付されます。
在留カードには許可された在留資格、在留期限、氏名、国籍、生年月日、顔写真などが記載され、外国人にとって基本的な身分証明書として機能します。くわしくは「在留カードとは」で解説しています。
〇ステップ6:勤務開始
外国人の住所地の市区町村役場での住民登録を済ませて勤務開始です。外国人も社会保険の対象ですので手続きを行ないます。くわしくは別記事「外国人の社会保険」でご説明しています。
就労ビザの新規取得の必要書類
就労ビザの申請に必要な書類は就労ビザごとに異なります。ここではご参考として、「技術・人文知識・国際業務」について解説します。
会社のカテゴリー分け
「技術・人文知識・国際業務」の申請書類は、勤務先の企業の規模によって区分されており、カテゴリーごとに異なります。
カテゴリー1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 | |
区分 | 次のいずれかに該当する機関 (1) 日本の証券取引所に上場している企業 (2) 保険業を営む相互会社 (3) 日本又は外国の国・地方公共団体 (4) 独立行政法人 (5) 特殊法人・認可法人 (6) 日本の国・地方公共団体認可の公益法人 (7) 法人税法別表第1に掲げる公共法人 (8)高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業) ※対象はリンク先の「イノベーション促進支援措置一覧」をご確認ください。 (9)一定の条件を満たす企業等 |
次のいずれかに該当する機関 (1) 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人 (2) 在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関 |
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) | 左のいずれにも該当しない団体・個人 |
立証書類 | 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し) 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し) 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノ ベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば,補助金交付決定通知書の写し) 上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば,認定証等の写し) |
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用 申出に係る承認のお知らせメール等) |
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) | – |
出入国在留管理庁がすべての申請者に要求している共通の書類はつぎのとおりです。
下記の共通書類を提出しても許可される会社とされない会社があります。
例えば、上述のとおり許可されるためには「十分な業務量」の立証が必要であるところ、上場会社であれば特別な立証をしなくてもそれが疎明されることが多く、一方中小企業であれば、それを別途、書面で立証する必要があるためです。
立証責任は申請人にあるとされていますので、適宜、理由書や追加書面で補強します。
「技術・人文知識・国際業務」新規取得:主な必要書類(認定申請・変更申請)
1 申請書
・在留資格認定証明書交付申請書(海外からの招聘のとき)
・在留資格変更許可申請書(他の在留資格からの変更のとき)
2 写真(縦4cm×横3cm)
3 上記カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 適宜
4 専門学校を卒業し,専門士又は高度専門士の称号を付与された者については,専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書 1通
5 派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通
(カテゴリー1、2については以下不要)
6 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1)労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通
(2)日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務),期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通
7 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通
(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書
ア 大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお,DOEACC制度の資格保有者の場合は,DOEACC資格の認定証(レベル「A」,「B」又は「C」に限る。) 1通
イ 在職証明書等で,関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学,高等専門学校,高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通
ウ IT技術者については,法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通
エ 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は,関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通
8 登記事項証明書 1通
9 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先等の沿革,役員,組織,事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通
10 直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
11 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合:
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
(2)上記(1)を除く機関の場合:
ア 給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
イ 次のいずれかの資料
(ア)直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通
(イ)納期の特例を受けている場合は,その承認を受けていることを明らかにする資料 1通
12 変更申請時は、パスポート原本、在留カード

就労ビザの期間更新・延長の必要書類、費用は?
更新の必要書類
就労ビザの期間更新・延長に必要な書類は、就労ビザごと、会社の規模ごとに異なります。
以下では多くの方が申請する「技術・人文知識・国際業務」の期間更新の必要書類について解説します。
出入国在留管理庁がすべての申請者に要求している共通の書類はつぎのとおりです。
下記の共通書類を提出しても許可される会社とされない会社があります。
立証責任は申請人にあるとされていますので、適宜、理由書や追加書面で補強します。
1 申請書:在留期間更新許可申請書
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
3 パスポート及び在留カード 提示
4 上記カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 適宜
5 派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通
(カテゴリー1、2については以下不要)
6 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
7 在留カード、パスポート原本
更新の費用
いずれの就労ビザも更新・延長が許可されるときには、出入国在留管理局に対して手数料4,000円を、収入印紙で支払います。
