更新日 2021年6月17日
外国人雇用状況の届出は、いつまでに、誰について、どのような方法で行なうのか、また提出先はどこなのかについて、徹底的に分かりやすく解説します。
目次
外国人雇用状況の届出義務とは
外国人雇用状況の届出とは、外国人労働者を雇い入れたときまたは雇用する外国人が離職したときに事業主に義務づけられている、ハローワークへの外国人労働者の氏名等の情報の届出のことをいいます。
労働施策総合推進法28条に規定されています。
(外国人雇用状況の届出等)
第二十八条 (抄)
事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

外国人雇用状況の届出義務違反に対する罰則
新たに外国人を雇い入れ又は離職した時に届け出なかったとき、または虚偽の届出をすると、30万円以下の罰金に処せられます。
労働施策総合推進法40条に規定されています。
(罰則)
第四十条 (抄)
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
二 第二十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
外国人雇用状況の届出の対象者
在留資格「外交」「公用」および「特別永住者」以外の外国人労働者が届出の対象となります。
届出の対象は「労働者」ですので、基本的には雇用契約の有無で判断し、代表取締役など会社と委任関係にある役員は対象外です。
ただし雇用契約を締結していないときでも、「使用従属性」が認められる場合は届出の対象となります。
在留資格が「経営・管理」の外国人でも、管理者としてこの在留資格をお持ちの方は、届出の対象となります。
取締役営業部長など、役員ではあっても使用従属性が認められるケースは、ハローワークに対し個別の照会が必要です。なお、執行役員は会社法上の役員ではないことに留意してください。
雇用契約を締結していれば届出の対象となりますが、雇用契約が締結されていない場合であっても、以下の基準に照らし、労働者性の有無について判断します。
1 使用従属性に関する判断基準
(1)指揮監督下の労働
イ仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無
ロ業務遂行上の指揮監督の有無
ハ拘束性の有無
ニ代替性の有無
(2)報酬の労務対償性
2 労働者性の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無
イ機械、器具、衣装等の負担関係
ロ報酬の額
(2)専属性の程度
外国人経営者
会社と雇用契約を締結しておらず委任契約を締結している役員は、多くの場合届出の対象外です。
ただし、執行役員は通常は届出対象となりますので注意しましょう。
外国人社員
会社と雇用契約を締結しているか、締結していなくても使用従属関係があれば届出対象です。
したがって、たとえばフリーランスの記者であっても、届出が必要なケースがあります。
外国人アルバイト
会社と雇用契約を締結しているか、締結していなくても使用従属関係があれば届出対象です。
留学か家族滞在の在留資格の方が資格外活動許可の範囲内で働くケースや、
就労に制限のない永住者や日本人の配偶者等の在留資格をもつ外国人などが考えられます。
いわゆる昼間学生である留学生は雇用保険の適用外となりますので、後述の様式3号や電子申請(e-gov)で届け出ることとなります。
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外国人派遣社員
会社と雇用契約を締結しているか、締結していなくても使用従属関係があれば届出対象です。
雇用契約は派遣元との間に成立しますので、派遣元が届出します。
永住者や技術・人文知識・国際業務の在留資格で働く方が想定されます。

外国人雇用状況の届出の方法
外国人雇用状況の届出の方法は、届出対象の外国人が雇用保険の被保険者であるか否かにより異なります。
①雇用保険の被保険者となる外国人である場合⇒「雇用保険被保険者資格取得届」又は「雇用保険被保険者資格喪失届」と併せて行います。
②雇用保険の被保険者となる外国人でない場合⇒「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」で行ないます。
労働施策総合推進法施行規則10条に規定があります。
(外国人雇用状況の届出事項等)
第十条 (抄)
2新たに雇い入れられ、又は離職する外国人が雇用保険法に規定する被保険者(以下「被保険者」という。)である場合には、外国人雇用状況届出は、雇入れに係るものにあつては雇用保険法施行規則第六条第一項の届出と併せて、離職に係るものにあつては同令第七条第一項の届出と併せて、届け出ることにより行うものとする。
3新たに雇い入れられ、又は離職する外国人が被保険者でない場合にあつては、外国人雇用状況届出は、外国人雇用状況届出書(様式第三号)により行うものとする。
外国人雇用状況届出システムによる電子申請(オンライン届出)
多くは雇用保険の被保険者となるため「雇用保険被保険者資格取得届」や「雇用保険被保険者資格喪失届」で行なうことになりますが、様式3号の提出の代わりに「外国人雇用状況届出システム」で届け出ることができます。
雇用保険の被保険者となるケース(雇入れ時)
雇用保険被保険者資格取得届 | |
書式ダウンロード | 様式の印刷 |
届出事項 | ①氏名 ②在留資格※ ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域 ⑦資格外活動許可の有無 ⑧在留カード番号(P.6参照) ⑨雇入れに係る事業所の名称及び所在地など、取得届に記載が必要な事項 ※在留資格「特定技能」の場合は分野、「特定活動」の場合は活動類型を含む |
届出方法 | 「17」~「23」欄に「国籍・地域」や「在留資格」などを記入してハロー ワークに提出することによって、外国人雇用状況の雇入れの届出を行ったこ とになります。 |
届出先 | 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク |
届出期限 | 雇い入れ日の属する月の翌月10日まで |

雇用保険の被保険者となるケース(離職時)
雇用保険被保険者資格喪失届 | |
書式ダウンロード | 様式の印刷 |
届出事項 | ①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域 ⑦在留カード番号(P.6参照) ⑧離職に係る事業所の名称及び所在地など、喪失届に記載が必要な事項 |
届出方法 | 表面の「住所(被保険者の住所又は居所)」欄の他、裏面の「14」~ 「19」欄に 「国籍・地域」や「在留資格」などを記入してハローワークに 提出することで、外国人雇用状況の離職の届出を行ったことになります。 |
届出先 | 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク |
届出期限 | 離職日の翌日から起算して10日以内 |

雇用保険の被保険者とならないケース
外国人雇用状況届出書<様式第3号> | |
書式ダウンロード | 【PDF】 【EXEL】 |
届出事項 | ①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域 ⑦資格外活動許可の有無 ⑧在留カード番号(P.6参照) ⑨雇入れ又は離職年月日 ⑩雇入れ又は離職に係る事業所の名称、所在地等 ※⑦については雇入れ時のみ。 |
届出方法 | 外国人雇用状況届出書(様式第3号)に、上記①~⑩の届出事項を記載して 届け出る。 |
届出先 | 外国人が勤務する事業所施設(支店、店舗、工場など)の住所を管轄す るハローワーク |
届出期限 | 雇い入れ日又は離職日の属する月の翌月末日 |

届出事項の確認方法について
届出の記載内容の正確性を担保は一義的には事業主の責任とされ、かつ、虚偽の届出には罰則が設けられていますので、届出事項は本人の申告や主張を鵜呑みにするのではなく在留カード等の書面できちんと確認し、正確に届出します。
在留カードについてくわしくは別記事「在留カードとは」で解説しています。

外国人の社会保険加入の必要性の有無については、別記事「外国人の社会保険」でくわしく解説しています。
