オーバーステイ・不法滞在の解決手段~強制送還後の再入国の見込み、結婚、罪名、罰則について

オーバーステイと不法滞在の外国人

更新日 2021年6月17日

オーバーステイ不法滞在の外国人は合法的な根拠なく日本に滞在する存在であるため、就労結婚など様々な場面で困難に直面します。

就労すれば不法就労となり、雇った側も不法就労助長罪に問われます。

結婚を考えているのであれば、どこかできちんと決着をつけなければなりません。

ところが、単純なオーバーステイと思っていた外国人が実は偽造パスポートをつかって入国していたり、日本人にとっては、どの部分がどんな罪に該当するのか分かりにくいケースもあります。

この記事では、不法滞在不法入国不法上陸不法残留(オーバーステイ)などについてその概念を整理し、それぞれの罪状の重さと解決手段についてくわしく解説します。

不法滞在とは

不法滞在とは、外国人が合法的な根拠なく日本に滞在している状態のことで、「不法入国」と「不法残留」の両方を含む概念です。

不法滞在
無断転載を禁ずる

不法入国とは、入国の当初より不法の状態であったことをいい、例えば偽変造旅券や他人の旅券を使用して入国したケースや、密入国したケースが該当します。

不法入国
無断転載を禁ずる

不法残留とは、入国の当初は合法であったが、在留期限を徒過したにもかかわらず、引き続き日本に残留していることをいい、いわゆるオーバーステイのことをいいます。

不法残留,オーバーステイ,
無断転載を禁ずる

不法滞在者を雇用すると

不法滞在は外国人本人の犯罪であることはもちろんですが、不法滞在者を雇用した事業主も「不法就労助長罪」に問われます。不法就労助長罪については、別記事「不法就労助長罪とは」でくわしく解説しています。

オーバーステイ(不法残留)

オーバーステイ不法残留罪という犯罪を構成し、退去強制事由(いわゆる強制送還)に該当します。

しかしながら不法入国と比較したときには違法性の度合いが小さいため、出国命令制度の対象となりえます。

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不法滞在の罰則

オーバーステイ(不法残留罪)の罰則(入管法70条1項5号)

オーバーステイ(不法残留罪)は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は300万円以下の罰金となり、併科されることがあります。
これとは別に、退去強制の対象となります(入管法24条4号ロ)。

単純なオーバーステイ(不法残留罪)のケースでは刑事事件としては起訴されず、そのまま退去強制となる傾向にありますが、法律の条文がある以上は、刑事罰が科されるケースもあります。

オーバーステイと再入国

退去強制となったときには、その後、最低でも5年間は再入国することができません(上陸拒否事由)。
5年経てば法律上は上陸拒否の対象から外れますが、5年が経過したからといって査証が許可されるかは別の問題です。
特に観光ビザで来日しオーバーステイになった方は、5年経過後に観光ビザを申請しても許可される可能性は小さいです。

不法在留罪(不法入国・不法上陸)の罰則(入管法70条2項)

不法在留罪(不法入国・不法上陸)は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は300万円以下の罰金となり、併科されることがあります。
これとは別に、退去強制の対象となります。

不法残留と異なり、不法在留罪のケースは刑事事件として起訴されることが多くありますが、
不法入国罪と不法上陸罪は3年で時効になることから、筆者の体感では、不法在留罪のみで処理されることが多いです。

オーバーステイを終わらせる「退去強制」

オーバーステイは退去強制事由ですので、原則として「退去強制手続き」に則って帰国することとなります。

退去強制
(出典)出入国在留管理庁

オーバーステイを終わらせる「出国命令」

出国命令とは、オーバーステイの外国人が出国する意思をもって自ら入管に出頭したときに、一定の要件に該当する場合には、収容令書を発付せず、退去強制手続きではない簡易な手続きによって出国させる制度のことをいいます。

出国命令
(出典)出入国在留管理庁

出国命令に係る審査(入管法第55条の2)

入管に自ら出頭した後は、入国審査官が、出国命令対象者に該当するか否かを審査します。

・入国審査官の審査の結果、出国命令対象者と認定したときは、その旨の通知を受けた主任審査官が「出国命令書」を交付して、日本からの出国を命じます。

・入国審査官の審査の結果、出国命令対象者とは認定することができず、退去強制対象者に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、当該違反事件は入国警備官に差し戻され、退去強制手続が執られます。

出国命令対象者(入管法第24条の3)

オーバーステイ(不法残留)であることが前提で、かつ、以下の要件のすべてを満たすことが必要です。

1.出国の意思をもって自ら入国管理官署に出頭したものであること
2.不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
3.窃盗罪等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
4.過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
5.速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること

出国命令と再入国

出国命令で出国した外国人の上陸拒否期間は1年です(入管法5条9号ニ)。

オーバーステイを終わらせる「在留特別許可」

在留特別許可
無断転載を禁ずる

オーバーステイの外国人は、退去強制事由に該当しているため、退去強制となるのが原則です。

しかし、入管法は、この退去強制事由に該当している外国人にもなお、日本に引き続いて在留する道を残しており、これが在留特別許可です。

在留特別許可とは、引き続き在留を希望する外国人に対し、退去強制手続きの最終段階において、法務大臣が特別な事情を認めて在留を許可することをいいます。

在留特別許可は、入国警備官による違反調査、入国審査官による違反審査、特別審理官による口頭審理に対する異議の申出についての法務大臣の裁決において、特例として行われます。

在留特別許可は、在留特別許可申請という申請があるわけではなく、退去強制手続きの最後の最後で「大どんでん返し」としてなされる決定であることに留意すべきです。

つまり、在留特別許可を希望するということは、退去強制手続きに乗ることを意味し、最後の最後に「大どんでん返し」ができなければ、原則どおり退去強制となります。

その時にはもう「出国命令制度」に切り替えることはできませんので、出国命令で出国していれば1年の上陸拒否期間で済んだところ、退去強制となれば5年の上陸拒否になります。

在留特別許可は退去強制手続きのプロセスの中で出てくるものなのだということを理解され、退去強制のリスクを引き受けることなのだという自覚が必要となります。

ケースによっては出国命令制度を利用した方がハッピーになれることも多いです。

オーバーステイの外国人の方とこれからご結婚される方、すでにご結婚された方は、ビザを専門とする行政書士とよく相談しましょう。

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東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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