【制度比較】特定技能と技能実習の7つの違いとEPAルート

特定技能と技能実習、EPAの違いについて解説する外国人

外国人材を受け入れるにあたって、特定技能がよいのか、技能実習がよいのか、業界によってはEPAがよいのか、迷われている経営者や人事ご担当者の方が多くおられます。

適切な採用ルートをいったん確立してしまえば、あとは毎年そのサイクルを回していくだけなので、当初は弊社のような専門家のコンサルティングを導入される企業様も多いです。

この記事では、特定技能技能実習EPA(経済連携協定)の制度の違いについて、比較しながら分かりやすく解説していきます。違いのみを取り出してご説明しますので、各制度の詳細は別記事「技能実習とは」または「特定技能とは」をご確認ください。

特定技能と技能実習の違い①:対象業種と職種が異なる

技能実習について

技能実習1号は業種や職種の制限がなく、あらゆる業種・職種で受け入れが可能です。しかし技能実習1号から2号へ移行できるのは、いわゆる「移行対象職種」に限られます。技能実習1号の期間は1年のみであるため、2号に移行することができないと受け入れ企業側のメリットが少ないため、技能実習制度を利用した外国人の受け入れは、実際には2号への移行対象職種において多く行われており、1号技能実習のみの利用は少ないです。

特定技能について

特定技能は、深刻な人不足が生じていると認められた14の産業分野においてのみ受け入れが可能です。

特定技能技能実習2号は、制度を利用可能な業種と職種が異なっています
これは当然のことで、特定技能が深刻な人手不足解消のための制度であるのに対し、技能実習が海外への技術移転を目的とする制度であり、制度の目的がそもそもまったく異なるからです。

よって例えば、深刻な人手不足が認められ特定技能の対象となった宿泊業や外食業は、技能実習制度の対象とはされていないことから技能実習を選択する余地はないことになります。

詳細はリンク先の別記事でくわしくご紹介していますので、そちらをご参照ください。

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特定技能と技能実習の違い②:日本で働くことができる年数が異なる

技能実習について

技能実習1号の在留期間は1年以内、技能実習2号の在留期間は2年以内、技能実習3号の在留期間は2年とされており、技能実習での在留期間は最長5年となっています。

ただし、後述のように、3号技能実習が認められるためには、監理団体が「特定監理業」ではなく「一般管理業」の許可を受けており、かつ、受け入れ企業も優良要件に適合していなければなりません。

特定技能について

特定技能1号の在留期間は通算で5年特定技能2号の在留期間は更新申請が許可されることを前提に、在留期間に制限はありません。
ただし現在のところ特定技能2号の対象となる産業は建設業と造船・舶用工業にかぎられています。

技能実習特定技能1号は在留期限が限られていることから家族の帯同が認められていませんが、特定技能2号は在留期限に制限がありませんので、家族(配偶者と子のみ。親は不可。)の帯同が許されるようになります。

なお、永住権は、技能実習や特定技能1号から、特定技能2号や在留資格「介護」へ進んだ外国人には道が開けますが、
介護や特定技能2号の対象の産業(建設、造船・舶用工業)以外で働いている方には可能性がありません。

ただし、技能実習や特定技能1号で日本に在留中に日本人や永住者と結婚したときなどは他の在留資格へ変更することにより永住者への道が拓くこともあります。

特定技能と技能実習の違い③:採用できる人数が異なる

技能実習はスキルがゼロベースの方に教えていくことが前提の制度なので、会社の常勤職員の人数に応じて受入れ人数に制限があります。

特定技能は「即戦力」として使える人材であることが制度の建前なので、受け入れ人数に制限は設けられていません。
ただし介護業と建設業においては特定技能にも採用の人数制限があります。

特定技能と技能実習の違い④:外国人の能力水準が異なる

技能実習は入国時に試験によって技能や日本語能力の確認は行われていません(介護分野のみ入国時にN4レベルの日本語能力が求められます)。

特定技能は「即戦力」足りうることが必要であるため、特定技能試験と日本語試験の両方に合格した人材であることが必要です(技能実習2号の良好な修了者は試験免除の例外あり)。

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 ・特定技能外国人になるための「日本語試験」と「特定技能試験」について

特定技能と技能実習の違い⑤:受入れスキームが異なる

技能実習制度は、実習生を受け入れるにあたり、監理団体、外国人技能実習機構、送出機関の3者の関与が不可欠となります(企業単独型を除く)。

特定技能はあくまでも外国人雇用の一形態なので、原則として外国人ご本人と企業との一対一の関係となります。
ただし特定技能においては適切な外国人支援が不可欠なため、支援業務の全部または一部を委託するときには、「登録支援機関」が関与することとなります。

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 ・外国人技能実習機構とは
 ・登録支援機関とは

特定技能と技能実習の違い⑥:採用ルートが異なる

受入スキームの違いに対応して、外国人の採用ルートも異なります。

技能実習は、日本側で受け入れをマネージする監理団体と、外国人の国籍国で募集等を担当する送出機関を通じて受け入れが行なわれます。

特定技能は外国人雇用の一形態ですので、直接雇用したり、人材紹介会社からの紹介をうけたりと通常の外国人採用と同様のルートが可能です。
ただしフィリピンのように、留学生のような既に日本に在留している人材を採用するときでも、現地の送出機関を関与させなければならないスキームの国もあります。

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 ・特定技能 フィリピン

特定技能と技能実習の違い⑦:転職の可否が異なる

技能実習においては、原則として「転職」が認められていません。よく技能実習生の「失踪」が話題になりますが、これは技能実習生には原則として転職の自由が認められていないことも一因となっています。
ただし、実習先の企業が倒産してしまったなどやむを得ない場合や、技能実習2号から3号へ移行するときには転籍が可能です。

※3号の技能実習を行なうためには、監理団体が「特定監理事業」ではなく「一般監理事業」の許可を受けており、また、実習先企業も優良要件に適合している必要があります。
このため優良要件を満たさない企業で働いていた技能実習生は、優良要件に適合する企業へ「転籍」することで3号技能実習を受けることが可能です。

特定技能は就労ビザですので、他の就労ビザと同様に転職が認められます。ただし、外国人が特定技能評価試験などで証明したスキルの範囲内での転職にかぎられます。

特定技能と技能実習の比較・違い
(出典)出入国在留管理庁

登録支援機関(特定技能)と監理団体(技能実習)の違い

技能実習の監理団体は「一般監理事業」と「特定監理事業」とに許可区分が分かれており、優良監理団体として「一般監理事業」の許可を受けていないと、3号技能実習に関与することができません。
特定監理事業」の許可を受けている監理団体は、1号技能実習と2号技能実習の事業にのみ関与することができます。

登録支援機関と監理団体の違い①:業務・役割が異なる

登録支援機関とは、会社が雇用した特定技能外国人が日々の生活に困らないように、各種の支援サービスを提供する会社のことをいいます。
登録支援機関はあくまでも一対一の雇用関係を側面からサポートする役割であって、利用しないことも可能なので不可欠の存在ではありません。

監理団体とは、技能実習生を受け入れた企業を「監理」する団体のことをいいます。
具体的には実習実施者にたいして、3カ月に1回以上の定期監査を行います(技能実習法施行規則52条1号)。
企業単独型技能実習を選択しない限り、監理団体との関係なくして技能実習生を受け入れることができません。

なお、3号技能実習を実施するためには、監理団体が優良監理団体として「一般監理事業」の許可を受けており、かつ、実習実施者が優良要件に適合していることが必要です。

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登録支援機関と監理団体の違い②:登録制か許可制か、営利法人か非営利法人か

登録支援機関は要件を満たしていれば登録される「登録制」ですが、監理団体は「許可制」となっています。
よって、登録支援機関になるハードルの方が、監理団体になるハードルよりも法制度上低く設定されています。

また特定技能の「登録支援機関」は個人事業主や営利法人でもなることができますが、
技能実習の「監理団体」は非営利法人でなければなることができません(技能実習法25条1項)。

登録支援機関と監理団体の違い③:料金相場が異なる

特定技能の登録支援機関の料金相場は月額2万5千円前後ですが、技能実習の監理団体へ支払う「監理料」は月額4万円前後であることが多いです。

監理団体は実習実施者(受入れ企業)を指導するだけでなく、技能実習生に対する相談業務や、万が一受け入れ企業が倒産した時の対応業務など幅広い業務を行なうため、料金相場は外国人に対する生活支援のみを行なう登録支援機関よりも高くなります。

EPAと特定技能、技能実習の違い【介護】

介護分野においては、技能実習ルート特定技能ルートのほかにEPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者の受け入れというルートがあります。

介護福祉士候補者とは、国家試験「介護福祉士」の受験が義務化されている存在という意味です。
介護分野におけるEPAの目的は、国家資格である介護福祉士の取得とされています。

epa、技能実習、特定技能、比較、違い
(出典)厚生労働省

介護分野におけるEPA・特定技能・技能実習の違い①:受入れルート

・EPA:かならず公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)を通す。
・技能実習:監理団体と送出機関を利用する。
・特定技能:制限なし(直接募集や人材紹介会社の利用など)。

介護分野におけるEPA・特定技能・技能実習の違い②:働くことができる年数

・EPA:介護福祉士取得前:原則4年、介護福祉士取得後:制限なしで更新可能
・技能実習:最長5年(ただし在留資格「特定技能」への変更可能、介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」への変更可能)
・特定技能:最長5年(ただし介護福祉士を取得すれば、在留資格「介護」への変更可能)

介護分野におけるEPA・特定技能・技能実習の違い③:外国人の国籍

・EPA:インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国のみ
・技能実習:制限ないが、送出機関との関係で事実上は10数か国
・特定技能:制限なし(イランを除く)

介護分野におけるEPA・特定技能・技能実習の違い④:国家資格の受験義務

・EPA:あり。制度目的が介護福祉士の取得であるため。
・技能実習:なし。ただし介護福祉士を取得すると在留資格「介護」に変更可能。
・特定技能:なし。ただし介護福祉士を取得すると在留資格「介護」に変更可能。

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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