外国人を【社会保険】の「扶養」に入れる手続きや条件について教えてください。

社会保険の扶養に入った外国人配偶者

更新日 2021年6月26日

はじめに

自社で働いている外国人スタッフが「家族滞在」の在留資格で来日した外国籍の家族を扶養しているときや、日本人スタッフが「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人配偶者を扶養しているときなど、社会保険(健康保険・厚生年金)に外国人を被扶養者(扶養される人)として加入させたいときにはどのような手続きをとれば良いのでしょうか?

この記事では、外国人社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養にいれるときの手続きや、被扶養者として認められるための条件などについてくわしく解説します。

外国人の社会保険加入は法的義務なので、おろそかにしていると入管法上の不利益が待っています。扶養に限らない外国人による社会保険加入の全般については別記事「外国人の社会保険」でくわしく解説していますので、そちらもご確認ください。

扶養を受けるかたが外国人であるときのお話ですね。

外国人を社会保険の「扶養」に入れる手続きの重要性

外国人は社会保険に加入する法的な義務がありますので、これを放置すれば違法行為をしている又は違法行為をしていた「素行不良者」として扱われ、入管法上の不利益を被ることがあります。

将来、外国人が日本の永住権を申請するときには、社会保険料の納付状況を「ねんきん定期便」や「領収証書」などを提出して証明する必要があります。

外国人は日本に住民登録をすると何らかの社会保険に加入する義務が生じますが、扶養に入れる手続きを怠っていると「空白の時期」が生じ、永住申請の際にマイナスとなります。

扶養に入るには条件がありますので、これを立証できなかったときには扶養に入ることができず、国民健康保険国民年金保険へ加入することとなります。
「扶養」に入れる手続きは、扶養の事実発生から5日以内に届出る必要がありますので、のんびりせずに行動に移しましょう。

法的義務としての社会保険加入をおろそかにすると入管法上の不利益もありうるのですね。

被扶養者(扶養される人)の認定

まず、扶養される人が外国人であっても、下記要件を満たす限り、社会保険の扶養に入ることができます。

被保険者(保険に入っている人)の家族であっても、全員が扶養に入れるわけではなく、要件を満たした方のみが被扶養者となることができます。

扶養に入ると被扶養者は被保険者とは別に社会保険料を支払う必要がなくなりますが、扶養から外れると被保険者とは別に家族も自分で社会保険料を支払うことになります。

よく「扶養の範囲内で働く」ということが言われますが、外国人の収入が130万円以上になると、社会保険の扶養に入ることができなくなりますので、自ら社会保険料を納めることとなります。

被扶養者の条件

社会保険の被扶養者になるための条件はつぎの3つです。

・被扶養者が日本国内に住所(住民票)を有していること 
 ※海外に住む家族は、原則として扶養に入れることはできませんが、一部例外があります。
・被保険者により主として生計を維持されていること
・収入要件・同一世帯要件のいずれにも該当すること

国内居住要件の海外特例

① 外国において留学をする学生
② 外国に赴任する第2号被保険者に同行する者
③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的での一時的な海外渡航者
④ 第2号被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、②と同等と認められる者
⑤ ①から④のほか渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

収入要件

被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ 
・同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
・別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

同一世帯要件

被扶養者となるには被保険者と同居していなければならない者と、同居していなくても良い者がいます。

被保険者と同居している必要がない者

・配偶者
※日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の在留資格をお持ちの場合は、入管法上、同居の必要があります。
・子
・孫および兄弟姉妹
・父母、祖父母などの直系尊属

被保険者と同居していることが必要な者
 
・上記ア以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
・内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

扶養に入るには一定の条件があるのね。

外国人を社会保険の扶養に入れる手続きの「時期・方法」

扶養の事実発生から5日以内に、被保険者が事業主を経由して「被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出します。

外国人を社会保険の扶養に入れる手続きの「届書・添付書類」

届書

・「健康保険被扶養者(異動)届」
・「国民年金第3号被保険者関係届」

添付書類

続柄確認のための書類・・・全員

・被保険者の戸籍謄本(被保険者との続柄がわかるもの)
・被保険者の住民票(被保険者が世帯主で、被扶養者と同一世帯である場合に限る)

収入要件確認のための書類・・・全員

(1)所得税法の規定による控除対象配偶者または扶養親族となっている者

・事業主の証明があれば添付書類は不要

(2)(1)以外の者

ア.退職したことにより収入要件を満たす場合
・退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し

イ.雇用保険失業給付受給中の場合または雇用保険失業給付の受給終了により収入要件を満たす場合
・雇用保険受給資格者証の写し

ウ.年金受給中の場合
・現在の年金受取額がわかる年金額の改定通知書などの写し

エ.自営(農業等含む)による収入、不動産収入等がある場合
・直近の確定申告書の写し

オ.上記イ~エ以外に他の収入がある場合
・上記イ~エに応じた書類
・課税(非課税)証明書

カ.上記ア~オ以外
・課税(非課税)証明書

仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類・・・該当者のみ

・振込の場合は、預金通帳等の写し
・送金の場合は、現金書留の控え(写し)

内縁関係を確認するための書類・・・該当者のみ

・内縁関係にある両人の戸籍謄本
・被保険者の世帯全員の住民票(コピー不可)

外国人の社会保険加入は、おろそかにすると入管法上の不利益があるので、日本人以上に慎重にしないといけないわね。

外国人の雇用保険や労災保険についても別記事でくわしく解説しています。


 

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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