【就労資格証明書】とはなんですか?「転職」時の活用方法と、申請方法、必要書類について教えてください。

就労資格証明書を取得した外国人

就労資格証明書はその名のとおり、外国人が日本で行なうことができる就労資格を証明してくれる文書ですが、外国人の就労資格は在留カードがあれば確認できるはずなのに、なぜ別の文書が用意されているのでしょうか?

それは、在留カードでは証明できない事項を、就労資格証明書であれば証明することができるためで、すでに就労ビザをお持ちの外国人が転職をするときには欠かせない手続きとなっています。

この記事では、就労資格証明書がなぜ必要なのか、転職時における活用法、申請方法や必要書類についてまでくわしく解説します。

就労資格証明書とは?

就労資格証明書とは、日本に在留する外国人からの申請に基づき、その者が行なうことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(以下「就労活動」といいます。)を法務省が証明する文書のことです(入管法19条の2)。

就労資格証明書の様式は、入管法施行規則第19条の4第4項により定められており、具体的にはつぎの見本のようになります。

就労資格証明書の見本

就労資格証明書,見本,
(出典)出入国在留管理庁

就労資格証明書だと可能で、在留カードにはできないこと

見本のとおり、就労資格証明書には、氏名、国籍、在留カード番号などの「本人を特定する情報」のほか、「活動の内容」と、「就労することができる期限」が記載されることとなっています。

このうち、「活動の内容」の記載事項が最もキモとなる記載事項であり、その他の事項は大半のケースにおいて在留カードでも確認することができる情報です。
したがって、わざわざ就労資格証明書を申請する意味は、この「活動の内容」に記載される内容がとても意味のあるものであるからということになります。

就労資格証明書の「活動の内容」には何が記載されるか

「活動の内容」の記載事項①:在留資格に対応する活動

就労資格証明書の「活動の内容」には、2つの事項が記載されます。1つは、申請人がもつ在留資格で可能な活動の範囲で、すべての申請者に共通の内容です。
したがってこの記載は、わざわざ就労資格証明書を取得する目的ではないことになります。

たとえば申請人が就労ビザの1種である「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をお持ちの場合は、就労資格証明書の1つめの記載事項としてつぎのように書かれます。

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)」

これは入管法の別表をそのまま記載しているので、入管法を確認すればよいだけなので、就労資格証明書を時間と手間をかけて取得する目的とはなりえません。

制度の本来の趣旨は、各在留資格が許容する活動の内容が入管法の別表に書かれていること自体を、雇用主が知らないだろうという入管の老婆心であるようですが、さすがにこれを知らずして外国人を雇用する方はいらっしゃらないと思われます。

「活動の内容」の記載事項②:申請した活動内容が適法であること

就労資格証明書には「活動の内容」の2つめの記載事項として、申請した活動内容が適法であるかについての法務大臣(出入国在留管理局)の判断が記載されます。

すなわち、1つめの記載事項に続いて、次のように記載されます。

「なお、株式会社〇〇の▲▲としての活動は、前記活動に該当する。」

この「なお書き」こそが、就労資格証明書を取得する真の目的です。この記載を求めて、多くの方が就労資格証明書を申請するのです。

要するに就労資格証明書を取得すると、申請した会社で、▲▲の仕事をすることが、適法であるという法務大臣のお墨付きをもらうことができるのです。

これにより、外国人も雇用主も安心して就労する(させる)ことができ、結果として外国人は不法就労を回避し、雇用主も不法就労助長罪に問われるおそれがなくなります。

1点だけ注意点をあげるとすると、▲▲の仕事をしているかぎりにおいては適法ですが、その後に会社内で配置転換があったりして、外国人が就労資格証明書に記載された▲▲の仕事ではなく、別の□□の仕事をすることになったときには、就労資格証明書では判定がなされていないことです。

就労資格証明書は、なぜ「転職」時によく利用されるのか?

義務ではない就労資格証明書の取得

まず、就労資格証明書交付申請という手続きは設けられていますが、このようなときにはかならず申請しなければならないという義務的な場面は一切ありません。

つまり就労資格証明書の制度は、外国人ご本人と雇用主の利便のために設けられているだけで、利用するか利用しないかは完全に任意です。

このため入管法は、就労資格証明書を提示しないことにより、雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならないとしています(入管法19条の2第2項)。

転職が自由な通常の就労資格

高度専門職1号の在留資格をお持ちのかたは転職をするたびに在留資格変更許可申請をする必要がありますが、他の一般的な就労系の在留資格をお持ちの場合には、現に有する在留資格が許す活動の範囲内であれば、転職のたびに入管の「許可」を得る必要はありません(転職の事実を「届出」る義務はあります。)。

たとえば、技術・人文知識・国際業務の在留資格で3年の在留期間を許可されている甲さんは、その3年の在留期間内であれば、何度でも自由に転職することができます。

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問題の所在

問題は、外国人の甲さんが有している技術・人文知識・国際業務の在留資格は、最初の勤務先であるA社の財務諸表を提出し、A社の雇用契約書をもとに許可されたものであるという点です。

誤解をされている方がたまにいらっしゃいますが、就労ビザというのは、外国人ご本人のみが審査対象なのではなく、勤務先の会社も審査対象となっています。

就労ビザの審査対象
無断転載を禁ずる

たとえば甲さんには十分な通訳のスキルがあり、前職の外資系ホテルのフロントに採用されて技術・人文知識・国際業務の在留資格が許可されたが、転職先の小さな民宿には通訳のスキルを発揮する仕事がまったくないか、あっても少しでフルタイム雇用するまでもない場合には、在留資格該当性を否定される可能性が少なくありません。

もし転職先の会社の事業内容、規模、財務内容が就労ビザの要件を満たしていなかったり、転職先の会社における仕事の内容や労働条件が就労ビザの要件を満たしていない場合には、次回やってくる在留期間更新許可申請が不許可になってしまうことになります。

転職案件において、次の在留期間更新許可申請が不許可になることの不都合は、その会社で「この先」働くことができなくなるということに留まりません。

転職先の会社における「過去の」就労が不法就労であったことを入管が把握することになるため、外国人ご本人は退去強制となる可能性があり、また、雇用主には不法就労助長罪が成立するおそれが出てくるのです。

転職先の会社でフルタイム雇用されていたとすると、資格外の活動を「専ら行なっていると明らかに認め」られると判断される可能性が高く、そう判断されれば退去強制事由に該当します。

つまり、自分たちが犯罪をおかしていたということに後から気づくことになり、取り返しのつかないことになりかねないということです。

就労資格証明書
無断転載を禁ずる

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問題解決手段としての就労資格証明書

このように、次回の在留期間更新許可申請まで入管の判断を先送りにしていると、許可されれば結果オーライなのですが、不許可となった時の不利益が大きすぎます。

これを回避するために、転職をした時点で転職先の情報を入管に提出し、転職先の会社と仕事内容が適法であるかを確認するために、本来は任意であるはずの就労資格証明書交付申請を積極的に活用する企業様が多いのです。

これにより、さんざん転職先の会社で働いた挙句、結果としてそれが不法就労であったことが後から判明し、かつ、その事実を入管に把握されるという最悪の事態を回避することができます。

就労資格証明書
無断転載を禁ずる

在留期間の残りが少ない時点での転職のケース

後述する就労資格証明書の申請に必要な書類をご確認いただくとご理解いただけますが、転職時に取得する就労資格証明書の審査は、実質的には就労資格の在留資格該当性の判断を、転職先の企業についてゼロから行うことを意味します。
したがって審査にかかる時間は、就労系在留資格をゼロから取得するときとそれほど変わりません。

よって、前職の会社で取得した在留資格の在留期限が残り少ない時には、就労資格証明書の交付申請をすることに大きな意味はなくなります。
在留期間の更新許可申請は在留期限の3カ月前から受付されますので、特に在留期限が残り3カ月を切っているようなときには、就労資格証明書の交付申請をすることなくそのまま在留期間の更新許可申請をされるケースが多いはずです。

就労資格証明書の申請方法

申請人の住居地を管轄する地方出入国在留局に出頭して申請します。転職のような事実の「届出」ではなく「処分性」があることから、今のところオンライン申請はできません。
交付されるときに、手数料の1200円を収入印紙で納付します。

就労資格証明書交付申請の申請人

1.申請人本人
2.申請の取次の承認を受けている次の者で,申請人から依頼を受けたもの
・申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
・申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
・外国人が行う技能,技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体の職員
・外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
3.地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で,申請人から依頼を受けたもの
4.申請人本人の法定代理人

就労資格証明書交付申請の必要書類

・申請書
・資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている方)
・在留カード又は特別永住者証を提示
・旅券を提示
・旅券を提示することができないときは,その理由を記載した理由書
・身分を証する文書等の提示

就労資格証明書交付申請の添付書類(転職ケース)

必要書類は現に有する在留資格により違いますので、適宜アレンジしてください。

転職先企業が用意する書類

・登記事項証明書
 ※会社の実在や、登記された事業目的等が確認されます。
・事業内容を明らかにする資料 
 ※申請人に資格該当性を満たす仕事を提供でき、かつ仕事量が十分にあることを疎明します。
 ※事業内容が在留資格と関係の薄いものであったり(一例として事業内容からして通訳を雇用する必要がない等)、関係があっても仕事の量が少ない(たとえば外国語のメニューをつくるだけなら外注すればよい等)と見込まれる場合は不交付となります。
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
 ※会社全体で納めた源泉所得税の金額等から、主に会社の規模を審査されます。
・直近の年度の決算文書の写し
 ※会社の財務状況(黒字決算か赤字決算か)、売上高などが審査されます。
 ※赤字決算の場合は、すでに経費が売り上げを上回っている状況のなか、申請人を雇用よることによる人件費の上昇分をどのように手当てするのかについて事業計画書等をもちいて疎明します。
・労働条件明示書 
 ※労働条件が日本の労働法規に照らして適法であるかが審査されます。
・雇用契約書
 ※給与が、法が要求する「日本人と同等以上であるか」等が審査されます。
・役員報酬を定める定款の写し
・役員報酬を決議した株主総会の議事録の写し
・地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通
雇用理由書
 ※申請人を採用する必要性を説明します。 
・事業計画書(決算期未到来の新設法人又は赤字決算の会社など)
 ※決算期未到来の新設法人の場合は決算文書の代わりとして、また、赤字決算の場合は、申請人の給与の出所などを疎明します。
・在職証明書

外国人本人が用意する書類

・離職証明書
 ※前職を離職した事実を証明します。
・源泉徴収票
・申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 
・学歴又は職歴等を証明する文書
・住民税の課税証明書、納税証明書
 ※きちんと納税していることと前年の所得を公文書で証明します。
申請理由書
・健康保険証の写し

まとめ

このように、転職時の就労資格証明書交付申請においては、在留資格該当性がゼロから審査されることになるため、初回の在留資格申請と同様の慎重さが必要となります。

就労資格証明書の交付を受けることができれば以後は安心して就労することができるというメリットがある反面で、もし不交付となれば以後その会社で働くことは不可能となります。

その怖さから入管の判断を先送りにしても結局は次回の更新許可申請で不許可となり、さかのぼって不法就労の事実を把握されてしまうだけなのですから、やはり適時のタイミングしっかりとしたご準備のもとに就労資格証明書の交付をうけることが賢明です。

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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