特定技能外国人になるための「日本語試験」と「技能試験」について

特定技能試験を受ける外国人

特定技能外国人となるためには、一部の例外をのぞき、日本語試験特定技能試験に合格することにより、即戦力になれる人材であることを証明する必要があります。

その日本語試験には2種類があり、どちらを受験すべきか迷われるケースや、産業独自の日本語試験を実施するケースもあります。また、特定技能試験は産業ごとに行われています。

この記事では、特定技能外国人になるための各種試験について、わかりやすくナビゲートします。

在留資格「特定技能」とは?

在留資格「特定技能」とは、日本の特定の産業における深刻な人手不足を解消するために、2019年に設けられた在留資格で、この受け皿により一定の専門性と技能を持っている外国人労働者を受け入れることが可能となりました。

特定技能外国人は人手不足解消の「即戦力」であることが求められるため、当初より、一定の日本語能力と各産業ごとの技能を有していることが必要で、これを確認するために、原則として、日本語能力試験と技能試験に合格することが求められます。

日本語能力がなく日本人とコミュニケーションを取ることができなければ現場において即戦力になりえませんし、産業特有の知識やスキルがなければ、これまた即戦力足りえないためです。

特定技能外国人になるための3つのルート

特定技能外国人になるための3ルートとは?

外国人が、いわゆる「特定技能外国人」になるための方途として、主として3つのルートがあります。

ルート1(試験ルート):「日本語試験」と「技能試験」に合格し、即戦力になることができる能力を証明した方

ルート2(技能実習ルート):技能実習2号を良好に修了したという実績により、試験を受けずとも日本語能力と技能について証明できる方

ルート3(EPAルート):介護分野におけるEPA介護福祉士候補者として、4年間にわたり日本で適切に従事してきたという実績により、試験を受けずとも日本語能力と技能について証明できる方

特定技能外国人は日本の産業の人手不足を解消することができる「即戦力」であることを確認するために、即戦力に必要な「日本語能力」と「技能」を証明しなければなりませんが、技能実習生やEPA介護福祉士候補者は、日本での活動歴があるために、試験を受けずともそれらの能力を証明することができます。

なお、即戦力となれる技能は産業ごとに異なりますので、技能試験も産業分野ごとに行われます。

よって、国外からはじめて労働者として来日される方や日本に在留している留学生などは、原則どおり、日本語試験と技能試験を受験し合格する必要があります。

最近の特定技能3ルートの内訳は?

出入国在留管理庁の統計によれば、2020年12月現在、日本に在留する特定技能外国人の内訳はつぎのとおりです。
2020年はコロナ禍で国外から入国する外国人が減少しているため試験ルートの全体に占める割合は14%ですが、アフターコロナになれば増加するでしょう。

なお、宿泊業と外食業は技能実習制度の対象でないため、試験ルートで特定技能外国人となった人の割合は100%です。

・特定技能外国人の総数:1万5,663人
(内訳)
試験ルート組:2,204人(14%)
技能実習ルート組:1万3,344人(85%)
EPAルート組:111人(0.7%)
その他:4人

日本語試験について

特定技能外国人となるには、一部の例外を除き、日本語試験を受検してその能力を証明する必要があります。

日本語試験は「日本語能力試験(JLPT)」と「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」とがありますが、介護業のようにさらに追加で別の日本語試験(介護日本語評価試験)を課す産業分野もあります。

2つの試験(JLPT・JFT-Basic)、どちらを受験した方がよいの?

日本語能力試験の使い分けの第一原則:実施国と実施回数

試験が実施される国や試験日程を比較して、受験しやすい方を受験すればよいというのが第一原則です。

日本語能力試験(JLPT)は古くからある日本語能力試験であり日本と海外の約80の国と地域で行われる代わりに、試験日は年に2回です。
つまり多くの国で受験できる代わりに、受験機会は年に2回と少ないです。

一方で、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は海外(アジア7か国)と日本で行われるためそもそも国外では受験できない国が多くある代わりに、
受験機会は年に6回ありチャンスが多いです。

日本語能力試験の使い分けの第二原則:試験で測られる能力

両方の試験が実施される国のかたで、しかも受験日も似通っている場合には、どちらを選ぶか迷われることもあります。
そのときには、試験ごとの特徴を比較して、どちらを受験するか(させるか)決めましょう。

日本語能力試験(JLPT)は、日本語学習者の到達度を測るためのテストであり、N1からN5まで5段階のレベルに分かれています。
したがってこの試験を受験すると、外国人の日本語のレベルがどの程度なのか分かります。

一方で、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、日本国内での生活の場面で求められるコミュニケーション能力を測定するテストであり、レベルは1つです。
つまりこの試験はその名のとおり「基礎力」があるかないかの2択の判断をするテストであるため、基礎力を超えた日本語能力がどこまであるのかは判定できません。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかないかを判定する試験とされているため、会社としてそれが分かれば十分という判断もありえますし、それでは足りないという判断もありえるでしょう。

日本語能力試験(JLPT)

日本語能力試験はN1からN5まで5段階のレベルに分かれていますが、特定技能外国人になるにはN4以上の日本語能力が必要です。

◇実施国:日本では47都道府県、世界85の国・地域の249都市で実施しています(2018年実績)
     具体的な実施国は下記のホームページでご確認ください。

◇実施日:国ごとの試験日程を下記ホームページで確認します。

◇実施方法:マークシート方式

◇情報提供:ホームページはこちら

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

国際交流基金日本語基礎テストはレベル分けされていませんので、この試験に合格することが特定技能外国人になる要件の1つです。

◇実施国:日本、カンボジア、インドネシア、モンゴル、フィリピン、ネパール、タイ、ミャンマー

◇実施日:国ごとの試験日程を下記ホームページで確認します。

実施方法:コンピュータ方式(computer based testing)

◇情報提供:ホームページはこちら

介護日本語評価試験

介護分野の特定技能外国人になるには、上記「日本語能力試験(JLPT)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」を受験することに加え、介護分野の日本語能力を評価する独自の日本語試験に合格する必要があります。

◇実施国:日本、カンボジア、インドネシア、モンゴル、フィリピン、ネパール、タイ、ミャンマー

◇実施日:国ごとの試験日程を下記ホームページで確認します。

◇実施方法:コンピュータ方式(computer based testing)

◇情報提供:ホームページはこちら

技能試験について

日本語試験は全産業において共通の試験(JLPT・JFT-Basic)が利用されますが、技能試験は産業ごとに実施されます。仕事に必要なスキルは産業ごとに異なるためです。

分野別の技能試験情報

各産業ごとの技能試験実施団体のホームページで、サンプル問題、試験会場、試験日程(スケジュール)、などを確認しましょう。

介護分野(厚生労働省)
 ・介護 サンプル問題(介護技能評価試験 , 介護日本語評価試験
 ・介護 申し込み (申し込みサイト
ビルクリーニング分野(全国ビルメンテナンス協会)
素形材産業分野(経済産業省)
産業機械製造業分野(経済産業省)
電気・電子情報関連産業分野(経済産業省)
建設分野(建設技能人材機構)
造船・舶用工業分野(日本海事協会)
自動車整備分野(日本自動車整備振興会連合会)
航空分野(日本航空技術協会)
宿泊分野(宿泊業技能試験センター)
 ・宿泊 サンプル問題
 ・宿泊業技能試験の申し込みにはマイページの作成が必要です(受験申込みページ
農業分野(全国農業会議所)
漁業分野(大日本水産会)
飲食料品製造業分野(外国人食品産業技能評価機構)
 ・申し込み(試験申し込みに必要な会員登録案内
外食業分野(外国人食品産業技能評価機構)
 ・申し込み(試験申し込みに必要な会員登録案内

受験資格

2020年4月1日より、国内で技能試験を受けることができる外国人の範囲が拡大され、在留資格を有していれば誰でも受けられるようになりました。

これにより退学・除籍した留学生であっても技能試験を受けることができるようになりましたが、在留資格変更許可申請をして許可されるかどうかは別の問題です。
在留資格変更許可申請は許可要件として、在留状況が良好であることが必要ですので、在留不良者は別のハードルに引っかかってしまうため、在留資格変更の方法によっては、特定技能外国人なることはできません。

◇令和2年4月1日以降の国内試験の受験資格

在留資格を有していること
(注)在留資格「短期滞在」の方でも受験が可能です。
(注)在留資格を有していない方(不法残留者等)の受験は認められません。

◇令和2年3月31日までの国内試験の受験資格

日本国内での試験の受験資格が認められない方
 ・中長期在留者でなく,かつ,過去に日本に中長期在留者として在留した経験がない方
 ・退学・除籍留学生
 ・失踪した技能実習生
 ・「特定活動(難民申請)」の在留資格を有する方
 ・技能実習等,当該活動を実施する計画の作成が求められる在留資格で現に在留中の方

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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