【国民健康保険】に加入する義務がある外国人と、加入できない外国人について

国民健康保険を納付した外国人

日本に住民登録をしている外国人のかたは原則として国民健康保険など何らかの公的医療保険に加入しなければなりませんが、なかには加入の必要がないかたや、希望しても加入することができない外国人もいらっしゃいます。

この記事では、どのような外国人に国民健康保険への加入義務があるのか、どのような外国人は加入できないのかについて、くわしく解説します。

目次

国民皆保険制度とはなんですか?

日本はいわゆる「国民皆保険制度」を採っていることから、外国人を含めた日本の居住者はすべて原則として、公的医療保険に加入する義務があります。国民年金と異なり、加入要件が20歳以上とされているわけではないので注意しましょう。

公的医療保険に加入していると、6歳から70歳までは、医療費の3割を自己負担すれば足りるようになります。
たとえば医療費が1万円かかったとしても公的医療保険が7千円を負担してくれるので、患者さんは3千円を支払うだけでよくなります。

公的医療保険制度は、困ったときは助けてもらい、そうでないときは困っている人を助けるという「相互扶助」により成り立っていますので、健康だから入りたくないなどという理由で加入しないことはできません。

外国人が国民健康保険に加入していないとどうなりますか?

国民健康保険に加入義務があるにもかかわらず加入していないと、医療費が全額自己負担になるだけでなく、入管法上も次のような不利益を被ります。

永住権がもらえなくなる

永住許可申請の必要書類をご確認いただければお分かりのように、過去に遡って、国民年金保険料の支払い状況が調査され、納期限に遅れることなく(つまり滞納せずに)適時に支払っていなければ不許可となる確率が非常に高いです。

国民健康保険料と呼称すると、支払いについての義務感が感じられないかもしれませんが、実はこれは「国民健康保険税」という税金です。

国民健康保険税とは、世帯主に対し課する税金であり(地方税法703条の4)、分類上は地方税、直接税、目的税に該当します。

仮に永住許可申請時には全額を支払ってから申請をしたとしても、過去に1度でも「滞納」した実績があると、永住が許可される可能性は非常に小さくなります。
なぜなら、納期限に遅れて支払ったということは、納期限から支払い日までは違法行為をしていたことになるからです。

在留期間の更新申請や在留資格の変更申請の審査で不利になる

特定技能の在留資格をもつ外国人のケース

出入国在留管理局は、特定技能の在留期間の更新許可申請の必要書類として「国民健康保険被保険者証の写し」と「国民健康保険料(税)納付証明書」の提出を求めています。
提出できないと更新が不許可になるという以前に、提出できなければそもそも申請が受付されない可能性すらありますから、十分注意しましょう。

その他の在留資格をもつ外国人のケース

出入国在留管理局が作成した「在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン」は次のように述べています。

 納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。

国民健康保険料は国民健康保険税という地方税なので(地方税法703条の4)、十分留意しましょう。

国民健康保険に加入する義務がある外国人とは?

下記に該当する外国人のかたは、国民健康保険に加入する義務があります。

1.適法に日本に中長期在留する外国人
2.特別永住者
3.一時庇護のために上陸の許可を受けた外国人
4.仮滞在の許可を受けた外国人
5.出生により日本に在留することとなった外国人
6.日本国籍の喪失により日本に在留することとなった外国人

国民健康保険に加入することができない外国人とは?

下記に該当する外国人のかたは、国民健康保険に加入することができません。

在留期間が3か月以下の外国人

「3か月以下」とされているため、在留期間が3カ月ちょうどのかたは、国民健康保険に加入する義務がなく、加入することができません。
ただし在留期間が3か月以下でも、在留資格が「興行」、「技能実習」、「特定技能1号」、「特定技能2号」、「家族滞在」、「公用」、「特定活動(医療を受ける活動またはその方の日常の世話をする活動を指定されている場合を除く。)」の場合で、資料により3か月を超えて滞在すると認められる方は、加入できます。

在留資格が「短期滞在」の外国人

短期滞在の在留資格の外国人は、遠からず日本を出国することが予定されている在留資格であるため、加入する義務がなく、加入することができません。

在留資格が「特定活動」のうち、告示25号(医療を受ける活動)をもつ外国人

いわゆる医療滞在ビザと呼ばれる「特定活動告示25号」をお持ちの外国人のかたは、医療を受ける活動が終了すると日本を出国することが予定されており、
「相互扶助」の制度である公的医療保険になじまないことから、国民健康保険に加入する義務がなく、加入することができません。

在留資格が「特定活動」のうち、告示26号(医療を受ける方の日常の世話をする活動)をもつ外国人 

いわゆる医療滞在同伴者ビザと呼ばれる「特定活動告示26号」をお持ちの外国人のかたは、付き添った患者さんの医療を受ける活動が終了すると、一緒に日本を出国することが予定されており、
「相互扶助」の制度である公的医療保険になじまないことから、国民健康保険に加入する義務がなく、加入することができません。

在留資格が「特定活動」のうち、告示40号(18歳以上が行なう観光、保養その他これらに類似する活動)をもつ外国人

いわゆる長期観光ビザと呼ばれる「特定活動告示40号」をお持ちの外国人のかたは、観光と保養の活動が終了すれば日本を出国することが予定されており、「相互扶助」の制度である公的医療保険になじまないことから、国民健康保険に加入する義務がなく、加入することができません。

在留資格が「特定活動」のうち、告示41号(長期観光・保養する外国人と同行する活動)をもつ外国人配偶者

その同伴者である「特定活動告示41号」をお持ちの外国人は、同伴した配偶者が日本での観光と保養を終了すると、一緒に日本を出国することが予定されており、「相互扶助」の制度である公的医療保険になじまないことから、国民健康保険に加入する義務がなく、加入することができません。

在留資格が「外交」の外国人

外交官は日本の法制度ではなく、本国の医療保険制度の適用になることが望ましいと考えられています。

不法滞在など、在留資格のない外国人

かつてはオーバーステイの外国人も国民健康保険に加入できるかにつき争いがあり、加入できるとする最高裁判例もありましたが、現在は国民健康保険法施行規則の改正によって適用除外とすることで決着がつきました。

日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の方で、本国政府からの社会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている外国人

令和元年5月現在、アメリカ、ベルギー、フランス、オランダ、チェコ、スイス、ハンガリー、ルクセンブルクと締結しています。

職場の健康保険に加入している外国人

職場の健康保険に加入していればすでに公的医療保険に加入しているので、国民健康保険に加入する必要はありません。

生活保護を受けている外国人

最高裁は平成26年に、外国人は生活保護の受給権を有しないと判断しましたが、実際には受給されている外国人もいらっしゃいます。
生活保護の受給者は保護費として医療扶助を受けられることとされています。

75歳以上の外国人

後期高齢者医療制度の対象であるため、国民健康保険に加入する必要はありません。

外国人の国民健康保険の加入手続きは、日本人と異なるの?

国民健康保険への加入は、住民登録をすれば自動的に行われるものではなく、市区町村役場での加入手続きが必要です。
日本人と異なる点は、在留カード等が必要になることです。

加入手続きが完了すると、国民健康保険被保険者証(いわゆる保険証)が交付されます。

加入手続きの期限

入国日、転入日または今まで加入していた健康保険の資格喪失日(退職日の翌日)から14日以内に手続きします。
加入手続きを遅らせても、国民健康保険料は地方税であるため、その間の支払いを免れることはできません。早めに済ませてしまいましょう。

加入手続きができる人

ご本人のほか、住民票上、同一世帯の方が行うことができます。別世帯の方が手続きするときは、委任状が必要です。

加入手続きに必要な書類

・在留カード
・指定書(在留資格が特定活動のかたのみ。パスポートにホチキス貼付されていますので、外さずにパスポートを持参してください。)
・この他、状況に応じ指示された書類が必要です。

<外国から転入するとき>
・国外転入届を、提出する必要があります。

<他の市区町村で国民健康保険に加入していた方が転入したとき>
・転出証明書
・被保険者証 

<職場の健康保険などをやめたとき>
・職場の健康保険資格喪失証明書

<生活保護を受けなくなったとき>
・生活保護廃止決定通知書

<子どもが生まれたとき>
・母子健康手帳

海外から転入した外国人の保険料はどうなるの?

国民健康保険料は、日本人と同様に、前年度の世帯の収入や加入者の人数などから算出されます。
国外から転入した時は前年度の所得は無いものとみなされるため、保険料は最低の基本額となります。

初年度が最低額であることを知らずにいると、翌年から所得に応じて国民健康保険料が跳ね上がりますので気を付けましょう。

来日して2年目以降の外国人で、税の申告をしていない方は、市区町村役場において「国民健康保険料申告書」を提出する必要があります。

国民健康保険料の支払い方法は?

国民健康保険料は、銀行やコンビニエンスストアで納付書をつかって支払うこともできますし、銀行の口座振替で支払うこともできます。どちらの方法であっても、手数料はかかりません。

上述のように、特に永住許可申請では納期限までに適時に保険料を支払っていたかが重要な審査項目の1つとなっていますので、滞納が生じないよう、口座からの引き落としされることをお勧めします。

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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