外国人が出国税(国外転出時課税制度)を支払わなければならない場合とはどんなときですか?

いわゆる出国税は、正式な名称が出国税という特別なカテゴリーの税金があるわけではなく、対象者が日本の国外に転出するときに支払うこととなる「所得税」です。

俗に出国税と呼ばれているため身体が海外へ移動する物理的な「出国」のみをイメージしがちですが、外国人が国外に居住する親族に資産を贈与するときや、国外に居住する相続人が対象資産を相続するときにもかかってきます。

この記事では、日本に居住する外国人にフォーカスし、誰にどのようなときにかかる所得税なのかを解説します。

出国税(国外転出時課税制度)の対象となる外国人は?

国外転出をする居住者で、次のいずれにも該当する外国人が、国外転出時課税の対象となります(所法60の2⑤)。

・国外転出の時に所有等している対象資産の価額の合計額が1億円以上であること。
・原則として国外転出の日前10年以内において、国内在住期間が5年を超えていること。

国内在住期間に含まれない在留資格:入管法「別表第一」

国内在住期間の判定に当たっては、入管法「別表第一」の上欄の在留資格(外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定技能、文化活動、短期滞在、留学、研修、特定活動)で在留していた期間は、国内在住期間に含まないこととされています(所令170③一)。

国内在住機関に含まれる在留資格:入管法「別表第二」

国内在住期間の判定に当たっては、入管法「別表第二」の上欄の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)で在留していた期間は、国内在住期間に含まれます。

ただし平成27年6月30日までに入管法「別表第二」の上欄の在留資格で在留している期間がある場合は、その期間は国内在住期間に含まないこととされています(所得税法施行令の一部を改正する政令(平成27年政令第141号)附則8②)。

出国税(国外転出時課税制度)がかかる場面とは?

国外転出時課税制度は、次に掲げる時において、一定の居住者が1億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの対象資産を所有等している場合に、次に掲げる時に対象資産の譲渡又は決済とがあったものとみなして、対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度です。

・対象者が国外転出をする時
・対象者が国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の一部又は全部を贈与する時
・対象者が亡くなり、相続又は遺贈により国外に居住する相続人又は受遺者が対象資産の一部又は全部を取得する時

出国税(国外転出時課税制度)の対象となる資産は何ですか?

外国人が国外転出するときに、現金や不動産などすべての資産に出国税がかかるわけではありません。

国外転出時課税の対象資産には、有価証券(株式や投資信託など)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)が該当します(所法60の2①~③)。

まとめ

出国税は1億円以上の有価証券等を有している、富裕層ないし準富裕層の外国人が対象となりますので人数的には少数派となりますが、対象となる場面は物理的な身体の海外への移動にかぎらず海外に居住する親族への贈与や相続が含まれることに注意が必要です。

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
error: