技能実習生に支払う報酬(給与)は、いくらに設定すべき?【徹底解説】

更新日 2021年5月22日

技能実習生に支払う報酬のは、技能実習生という理由だけで不当に低くしてはならないものとされています。

また技能実習生には技能検定等の受検料や監理団体に支払う監理費等の費用がかかるからという理由で、技能実習生の報酬の額を同等の技能を有する日本人と比較して低くすることもできません。

この記事では、技能実習生に支払う報酬をどのように設定すべきかについて解説します。技能実習制度の全般については、別記事「技能実習生とは」でくわしく解説しています。

なお「報酬」とは、一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付のことをいい、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するものは含まれません。

技能実習生と同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合

この場合は、技能実習生の給料を、当該日本人の給料と同等以上に設定します。

技能実習計画の認定申請においてはこれを立証する必要があり、技能実習生の任される職務内容や技能実習生の職務に対する責任の程度が、当該日本人労働者と同等であることを説明した上で、当該日本人労働者に対する報酬の額と同等以上であることを説明することとなります。

なお、有期雇用労働者である技能実習生も「同一労働同一賃金」の対象となります。
令和3年4月からは中小企業を含めたすべての企業を対象に、同一企業内の正規雇用労働者と有期雇用労働者との間で、不合理な待遇差を設けることや職務内容等が同じ場合に差別的取扱いを行うことが法律で禁止されています(いわゆる「同一労働同一賃金」)。

また、第2号技能実習及び第3号技能実習の賃金が前段階の技能実習の賃金を上回るなど「技能等の習熟度」に応じた賃金の格付けを行うなどして、報酬を技能実習生のモチベーション向上に活用することが求められます。

技能実習生と同程度の技能等を有する日本人労働者がいない場合

技能実習生に対する報酬の額が日本人労働者に対する報酬の額と同等以上であるということについて、賃金規程がある場合には同規程に照らした個々の企業の報酬体系の観点から、賃金規程がない場合には、例えば、技能実習生の任される職務内容や技能実習生の職務に対する責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比べてどのように異なるかという観点から、説明を行います。

技能実習生の時間外労働と割増賃金

技能実習制度では時間外労働を原則としては想定していませんが、やむを得ない業務上等の事情等により時間外労働等を行わせる場合には、法律で定められた割増賃金を支払う必要があります。

まとめ

技能実習生に対し待遇を説明する際には、技能実習生の言語に対応する雇用契約書及び雇用条件書を提示して説明します。必要に応じて通訳をつけるなどした上で、内容を詳細に説明し技能実習生の理解を得ることが望ましいです。

その際、賃金については、総支給額のみを説明するのではなく、控除される税金・社会保険料や食費・居住費等を徴収する場合にはその金額や目的、内容等について丁寧に説明しましょう。

技能実習生の来日後における「失踪」の多くが、日本で与えられる待遇について、技能実習生が納得をしていないことに起因します。

待遇を詳細に説明しあらかじめ技能実習生の納得と理解を得ることは、「失踪」を未然に防ぐひとつの策であり、技能実習生のためだけでなく、結果的には受入企業の利益にもなります。

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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