飲食料品製造業で特定技能ビザの外国人を受け入れるときの注意点について【徹底解説】

ひと口に飲食料品製造業といっても、特定技能外国人が働くことができるかどうかは、会社単位ではなく事業所ごとに日本標準産業分類に照らして判断されます。

したがって、たとえばスーパーマーケットの店舗内のお惣菜コーナーは該当しないのに対して、スーパーマーケットの店舗に惣菜を卸す製造工場は該当する可能性があります。
また、スーパーマーケットの中の一区画を占めるパン屋さんが、スーパーマーケットとは経営主体が異なるときには、特定技能外国人が働くことができるかどうかは事業所となりえます。

このように、スーパーマーケットだから該当するしない、というように単純な判断ができません。

この記事では、飲食料品製造業で特定技能外国人を雇用するときの判断基準をわかりやすく解説します。

特定技能外国人が就労できる飲食料品製造業の「事業所」とは

事業所の主たる業務

特定技能外国人を雇用する飲食料品製造業者は、「主として」次の①から⑦の飲食料品製造のうちいずれかを行なっている事業所に就労させる必要があります。

運用要領において「主として」とされていることから、事業所の主たる業務が、①から⑦である必要があります。

たとえばスーパーマーケットの店舗という一事業所の一区画において飲食料品である総菜の製造が行われているときには、当該飲食料品の製造は事業所にとって主要な業務ではないため、
特定技能外国人が就労できる飲食料品製造業の事業所とはなりえません。バックヤードはスーパー(小売業)の機能の1つであるからです。

ただしスーパーマーケットの店舗の売上げの過半が、バックヤードで製造・加工した飲食料品である場合は対象とすることが可能です。この場合はバックヤードは小売業の一機能ではなく、
スーパーマーケットの店舗そのものを製造小売に該当すると判断できるからです。

またスーパーマーケットが各店舗で販売する総菜の独立した製造工場をもっているときには、当該工場が飲食料品製造業の事業所と認められる余地があります。
該当の日本産業分類にあたることは、事業主(会社全体)についての要件ではなく、あくまでも事業所についての要件であり、事業所単位で判断するからです。

飲食料品製造業分野に該当する事業所に係る日本標準産業分類

①中分類 09 食料品製造業
②小分類 101 清涼飲料製造業
③小分類 103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
④小分類 104 製氷業
⑤細分類 5861 菓子小売業(製造小売)
⑥細分類 5863 パン小売業(製造小売)
⑦細分類 5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(*製造小売に限る)

①から⑦で列挙されているように、食料品、飲料(酒類を除く)を製造加工し、卸売する事業所が対象となります。
具体的には、畜産食料品、水産食料品、缶詰、漬物、調味料、パン、菓子、めん類、冷凍食品、惣菜、清涼飲料、茶・コーヒー等の製造業が含まれます。また、製造と
小売を一体的に行っている菓子・パン製造小売、豆腐・かまぼこ等加工品食品小売業も対象となります。

酒類製造業、飲食料品小売業(細分類5861,5863,5897 を除く)、飲食料品卸売業、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造は対象となりません。

特定技能外国人を受け入れ可能な飲食料品製造業の事業所であるかは、当該事業所で1品目の生産がなされているのであればその生産活動によって決定します。
いっぽう、当該事業所で複数の品目の生産がなされているときには、生産品目の直近の売上高により決定されます。

プロセスセンター

小売業者や卸事業者等向けに納品する食品を製造・加工する事業所(いわゆるプロセスセンター)は、対象となります。例えば、精肉加工、水産物加工、惣菜の製造などを行う事業所が該当します。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します(中分類 09 食料品製造業)。
0919 その他の畜産食料品製造業
0929 その他の水産食料品製造業
0999 他に分類されない食料品製造業

セントラルキッチン

外食業の店舗での調理に代わり、料理品及び原材料の製造・加工をしている事業所(いわゆる集中調理施設、セントラルキッチン)は対象となります。この場合、日本標準産業分類は以下に該当します(中分類 09 食料品製造業)。0999 他に分類されない食料品製造業

精肉加工

小売業者や卸事業者等向けに納品するために、ブロック肉やハムを仕入れて精肉加工をする事業所は、対象となります。ただし、その業務の売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。この場合、日本標準産業分類は以下に該当します(中分類 09 食料品製造業)。0919 その他の畜産食料品製造業

GPセンター

卵を仕入れて、洗浄(・消毒)後に選別、包装(パック詰め)し、小売業者や卸事業者等向けに納品する事業所(いわゆるGPセンター)は対象となります。ただし、その業務の売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します(中分類 09 食料品製造業)。0919 その他の畜産食料品製造業

刺身など水産加工品の製造

小売業者や卸事業者等(消費者を除く)向けに納品する水産加工品、例えば刺身、切り身等を製造する事業所は対象となります。ただし、その業務の売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します(中分類 09 食料品製造業)。0929 その他の水産食料品製造業

野菜カット

野菜を仕入れて、すぐに調理に使用できるようにカット(炒め用やサラダ用)したものを、小売業者や卸事業者等向けに納品する事業所は対象となります。ただし、売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します(中分類 09 食料品製造業)。0999 他に分類されない食料品

野菜を仕入れて、玉ねぎの皮をむく、玉ねぎの天地カット、山芋の皮むき等の加工をしたものを、製造業者、小売業者及び卸事業者向けに納品する事業所が対象となります。ただし、売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します(中分類 09 食料品製造業)。0999 他に分類されない食料品

野菜を仕入れて、キャベツを半分にカットしたり、しいたけの石づきをカットしたりするなど、軽微な加工を行う場合は、卸売業に該当するため対象外です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します。5213 野菜卸売業

野菜を栽培し、同じ事業所内でしいたけの石づきを切るなど、軽微な作業の場合は、農業に該当するため対象外です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します。0113 野菜作農業

お弁当屋・惣菜屋

お弁当(惣菜等)を製造し、小売業者や卸事業者等向けに卸売する事業所が対象となります。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します。0996 そう(惣)菜製造業,0997 すし・弁当・調理パン製造業

持ち帰り弁当のように、客の注文に応じその場で調理した飲食料品を持ち帰る状態で提供する事業所は、外食業分野の持ち帰り飲食サービスに該当するため対象外です。また、仕出し弁当、デリバリーのように客の求め場所に飲食料品を届ける事業所や、特定された多人数に食事を提供する給食施設は、外食業分野の配達飲食サービスに該当するため対象外です。この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します。77 持ち帰り・配達飲食サービス業

ただし、接客を伴わない、調理に特化した事業所(いわゆるセントラルキッチン、プロセスセンター)については、飲食料品製造業分野の対象とすることも可能です。

お弁当(惣菜等)を仕入れて、店舗で販売している場合は、小売業に該当するため対象外です。
この場合、日本標準産業分類はつぎに該当します。5895 料理品小売業

飲食料品の製造請負

事業者の主たる業務が飲食料品の製造でなくとも、製造を請け負った事業所において、主たる業務で飲食料品の製造・加工の業務を行っていれば対象です。
ただし、この場合、業務請負契約が締結され、請け負った事業者からの指示・命令がされていることが条件となります。

労働者派遣やいわゆる偽装請負(請負契約はあるものの発注者から直接、業務の指示や命令をされるといった場合など)は、対象外となります。

パック詰め、検品、箱詰め、運搬業務

関連業務であるパック詰め、検品、箱詰め、運搬業務に専ら従事することはできません。
なお、特定技能外国人と同じ業務に従事する日本人が関連業務として付随的に従事しており、この日本人従業員と同程度であれば、従事することは差し支えありません。
※「単に製品を選別するとか包装の作業を行う事業所は製造業とはしない」と日本標準産業分類の製造業の総説に記載されています。

飲食料品製造業において特定技能外国人が担う「主たる業務」とは

主たる業務

飲食料品製造業において特定技能外国人が担う主たる業務は、飲食料品製造業全般(酒類をのぞく飲食料品の製造・加工、安全衛生)です。

特定技能運用要領によれば、酒類をのぞく飲食料品の製造・加工とは、原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等であるとされます。
また安全衛生とは、使用する機械にかかる安全確認、作業者の衛生管理等、業務上の安全衛生および食品衛生の確保にかかる業務をいいます。

関連業務

上述の主たる業務とあわせて行う限りにおいて、当該業務に当該事業所において従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することが認められます。
例えば、原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業等です。
清掃などの関連業務は飲食料品製造業の技能をもちいる仕事ではありませんが、付随的に従事する限りにおいて認められます。

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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