技能実習の「監理団体」のかしこい選び方について【徹底解説】

更新日 2021年5月22日

技能実習生の受け入れを検討されている企業がはじめに悩まれることは、どの監理団体とタッグを組むかという点です。現在、技能実習の監理団体は全国で3200を超えていますので、その中から自社にあう監理団体を選ぶことは至難の業とお考えになるかもしれません。

しかしながら実際には、御社が選択できる監理団体の候補というのは、業種エリアなどいくつかの観点から最終的には5社程度に絞られてくるのが現実です。それら候補となった監理団体から実際に詳細のお話を聞いていく過程において、最終的にお付き合いをする監理団体を決定されることになるはずです。

監理団体の多くは技能実習法上の「監理団体」である以前に、中小企業等協同組合法上の「事業協同組合」であるため、一般のかたには馴染みのない側面が多々あります。

この記事では、技能実習の監理団体について、技能実習法と中小企業等協同組合法の両方からひも解きながら、かしこい選び方について解説します。技能実習制度の全般については、別記事「技能実習制度とは」でくわしく解説しています。

技能実習の監理団体は、多くが事業協同組合である

技能実習生を受け入れようとする企業がお付き合いすることとなる監理団体は、その多くが「事業協同組合」という組合です。

この事業協同組合とは、中小企業等協同組合法というあまり耳にしない法律に基づいて結成される組合組織で、ようは、中小企業が団結して事業を行なうことにより、規模の利益を得て競争力を確保することを目的とした組織で、その事業は技能実習制度にかぎられません。

たとえば、事業協同組合が組合員である各企業のために一括して原材料の仕入れを行なうことにより、中小企業が単独で原材料を仕入れるときよりも価格面での交渉力を得ようとするなどの事業が行なわれています。

技能実習事業もそのような事業協同組合にとっての1事業に他ならず、中小企業が1社で技能実習の制度を構築し遂行することは困難なので、組合が各組合員のために、一括して技能実習の体制を構築し実施する事業を行なっているというわけです。

事業協同組合が事業の1つとして技能実習事業を行なうときに必要となるのが、技能実習法上の監理団体としての許可です。これはすでに会社法上成立している株式会社が、建設業を行ないたければ建設業許可を、別途取得するようなものと理解すれば分かりやすいでしょう。

したがって、技能実習生を受け入れたいと考えている貴社は、事業協同組合の組合に加入し組合員となることによって、そのサービスを受けられることとなります。
組合員は事業協同組合の議決権を有することになります(1組合員1議決権)ので、その意味では、貴社は事業協同組合である監理団体の運営にコミットすることになります。

技能実習の監理団体の賢い選び方1:事業協同組合は業種ごと地域ごとに結成されている

技能実習の監理団体はそもそも事業協同組合なので、事業協同組合としての法律上の制約があります。その1つが、事業協同組合は、業種ごと地域ごとに結成されているということです。

そもそも事業協同組合とは、中小企業が団結して規模の利益を得ることを目的としているので、業種ごとに結成することが通常です。
たとえば、建設業の企業と介護業の企業が1つの組合を結成しても、協力できる分野は数少ないはずですし、協力できることなど非常に少ないでしょう。

したがって、事業協同組合は本来的に、同業種で協力できる事業について結成されています。たとえば建設業の中小企業が組合で建設資材を調達するとか、介護業の中小企業があつまって、介護用の物品を調達するなどです。

よって、貴社が技能実習生を受け入れるにあたっては、貴社の業界の会社が集まってできた事業協同組合を選ぶことになります。技能実習の監理団体には外からみると得意な業種があるように見えると思いますが、得意な業種というよりも、そもそも組合員の構成によって業種はおのずと決まってしまうのです。

また、例外はあるものの、事業協同組合は通常、活動できる都道府県にも制約があります。
それもまた、事業協同組合の本来の目的によるものです。たとえ同じ業種であっても、北海道の建設業者と沖縄の建設業者が協同で事業を行なうことはなかなか難しいことはご理解いただけるでしょう。

このような理由で、技能実習の監理団体はそもそも事業協同組合であることから、活動している都道府県が限定されていることが多いのです。

以上より、貴社が技能実習生を受け入れるにさいして決定する監理団体は、同じ業種の企業が集まっている組合で、かつ、活動エリアが自社の拠点と合致している必要があります。

とても評判のよい監理団体をみつけたとしても、業界が異なればお付き合いできませんし、地理的に遠くても、なかなかお付き合いできないはずです。

技能実習の監理団体の賢い選び方2:監理団体の過去の行政処分等を確認する

外国人技能実習機構のホームページにおいて、監理団体にたいする過去の行政処分等が公表されています。

行政処分の理由にもよるとは思いますが、なかにはちょっとお付き合いするのが怖いという処分理由もあるはずですので、監理団体の選定の参考にしましょう。

技能実習の監理団体の賢い選び方3:優良な監理団体(一般監理事業)であるかを確認する

技能実習が1号(1年間)、2号(2年間)、3号(2年間)というように分かれていることはご存知かと思いますが、この3号の技能実習を行なうためには、監理団体が優良な監理団体として一般監理事業の許可を受けており、かつ、受け入れ企業が優良要件に適合していることが必要です。

すなわち監理団体が優良であるとして一般監理事業の許可を受けていない特定監理事業であるときには、3号技能実習を行なうことができないので、移行対象職種の技能実習期間は1号と2号の合計でトータル3年ということになります。一般監理事業の許可をうけた監理団体であればトータル5年の技能実習が可能です。

技能実習期間が3年しか許されないか5年許されるかは大きな違いなので、監理団体が一般監理事業の許可を受けている、または今後受ける見込みがあるかはとても大切なポイントとなります。

ただし3号技能実習をおこなうためには監理団体だけでなく、貴社すなわち受け入れ企業もまた「優良」であると認められなければなりませんので、監理団体が設立したばかりの若い事業協同組合である場合には、監理団体と受け入れ企業が共に成長していくという考え方も多いにありえます。そのためには、監理団体の理念に共感できるか、理念だけでなく実態はどうなのかといったことをきちんと見抜く必要があります。

貴社が優良と認められるころには監理団体も優良と認められるであろうとの見通しがあるのであれば、今現在は特定監理事業であるからといって、かならずしも大きなデメリットにはならないでしょう。

まとめ

技能実習事業を行う監理団体は、令和3年3月現在で3200を超えており、その中からお付き合いする団体を選定するのは大変なようにも思えます。

しかしながら実際には、業種や活動エリアなどから絞り込み、かつ、過去の実績なども踏まえればおのずと5団体程度には絞り込むことができます。

また特定監理事業の許可を受けた監理団体は設立から日が浅いことが多く不安だとおっしゃる方も多いですが、一方で若い事業協同組合は組合員の数が少ないことから、1組合員1議決権である監理団体におけるプレゼンスが大きいことが通常ですので、かならずしも選択肢から外れるものでもありません。

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東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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