在留カード不携帯で捕まったらどうなる? そもそもなぜ携帯しなければならないの?【徹底解説】

更新日 2021年6月23日

日本に在留する中長期滞在者には在留カードが交付されており、入管法で携帯義務が課せられています。
それでは、在留カードの携帯義務に違反して街で警察官に捕まったらどうなるのでしょうか? 在留カードの住所変更を放置していたときと同じように退去強制させられてしまうのでしょうか。

あるいは退去強制まではいかなくても、次回の更新申請や将来の永住申請に影響がでるのでしょうか。

この記事では、在留カードをお持ちの外国人に課せられた在留カードの携帯義務について解説します。

在留カードまたはパスポートの「携帯」義務

そもそも外国人には在留カードを常時携帯する義務はあるのでしょうか。これについては入管法の第23条が定めています。

入管法第二十三条 
本邦に在留する外国人は、常に旅券を携帯していなければならない。ただし、次項の規定により在留カードを携帯する場合は、この限りでない。
2 中長期在留者は、出入国在留管理庁長官が交付し、又は市町村の長が返還する在留カードを受領し、常にこれを携帯していなければならない。

条文から明らかなように、日本に在留中の外国人には原則としてパスポート(旅券)の常時携帯義務があるわけですが、中長期滞在者の場合は旅券の携帯義務は免除され、その代わりに在留カードの常時携帯義務が課せられています

これはなぜかというと、中長期滞在者の在留資格と在留期限は、パスポートには記載されていないため、在留カードをみないと確認できないためです。
条文の書きぶりから明らかなように、中長期滞在者の場合は、パスポートを常時携帯義務しても義務を履行したことにはならず、在留カードを常時携帯していなければなりません。

在留カードの交付対象である中長期滞在者については別記事「在留カードとは」でくわしく解説しています。

一方で、観光ビザなど短期的に日本に滞在している外国人には在留カードが交付されておらず、パスポートに貼られた証印から在留資格と在留期限を確認できる仕組みのため、パスポートの常時携帯義務が課せられています。

在留カードがないと、在留期限がわからないのね。

在留カードまたはパスポートの「提示」義務

それでは外国人には在留カードまたはパスポートの常時携帯義務があるとして、それを警察官から見せてくれと言われたときに、見せなければならないのでしょうか?
これを拒否することはできないのでしょうか?

これについては、入管法の第23条3項が定めています。

第二十三条
3 前二項の外国人は、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員が、その職務の執行に当たり、旅券又は在留カードの提示を求めたときは、これを提示しなければならない

条文でいう前二項の外国人とは、旅券の常時携帯義務または在留カードの携帯義務が課されている外国人のことを指しますので、警察官などから提示を求められれば、これを提示しなければならない法律上の義務があります。

よって、在留カードは持っているけれど、あなた(警察官)に見せたくありませんという主張はできないことになっています。

在留カードの提示ができないと面倒なことになるの?

なぜ合法的な中長期滞在者なのであれば在留カードを常時携帯すべきなのかというと、在留カードがなければ直近の統計で8万2616人もいる不法残留者と見分けがつかないからです。

ちょうど、運転免許は取得しているものの「運転免許証」を家にわすれてしまった状態で車を運転した「免許不携帯者」と、そもそも免許を取得していないのに車を運転した「無免許運転者」が、外形上みわけがつかないのと同じです。

したがって、路上で警察官から在留カードの提示を求められてこれを提示できなかった場合には、警察官からしてみればたまたま在留カードを家に忘れてきたのか、不法滞在者なのか分からないので、不法滞在者でないことが判明するまでは解放されないこととなります。

このようなトラブルに巻き込まれないためにも、在留カードは常に携帯しておかなければなりません。これは、自動車を運転するときに、かならず運転免許証を携帯していなければならないことと意味は同じです。

在留カード不携帯・不提示のペナルティは?

街中で警察官に在留カードの提示を求められ、提示ができなかったからといって、家に忘れてきただけならば退去強制になったりはしませんが、罰金が設けられています。

この罰金は刑事罰なので、次回のビザ更新や将来の永住申請における「素行の善良性」審査にマイナスの影響が出ます

なお、引っ越したにもかかわらず在留カードの住所変更をせずに放置することは退去強制事由ですので、在留カードについては甘くみず、きちんと別記事「在留カードとは」で様々なルールを把握してください。

在留カード不携帯の罰則については、入管法の第75条の3が定めています。

第七十五条の三 
第二十三条第二項の規定に違反して在留カードを携帯しなかつた者は、二十万円以下の罰金に処する。

罰金は痛いですがお金の問題です。しかしそれ以上に、将来の永住権申請において「素行の善良性」の審査でマイナスに作用しますから在留カードはかならず携帯しましょう。

また、在留カードを携帯しているもかかわらず「提示」を拒んだときには、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがあります。

これらは刑事罰ですので、退去強制にはならなくても、在留期間の更新申請永住申請のさいに「素行が善良でない者」として悪影響が出る可能性があります

したがって、うっかり忘れものをすることは誰にでもありうることですが、面倒くさいという理由や紛失しそうという理由で在留カードを意図的に携帯しないことはご本人の利益になりません。

永住権申請に影響があるならきちんとしておかないと

特別永住者も、特別永住者証明書を常時携帯する必要があるの?

いわゆる在日韓国人のかたなど特別永住者の方は、「特別永住者証明書」や旅券を常時携帯する必要はありません。

ただし、入管職員等から特別永住者証明書の提示を求められた場合には、例えば、保管場所まで同行するなどして提示することが必要です。
よって都道府県をまたいだ出張など、保管場所から離れた所へ移動するときには、事実上は特別永住者証明書の常時携帯が必要となります。

なお特別永住者でない通常の「永住者」のかたは、原則どおり在留カードの常時携帯義務がありますので混同しないようにしましょう。

まとめ

在留カードには入管法上の常時携帯義務と提示義務があり、これに違反すると退去強制にはならないものの刑事罰が用意されているため次回の更新申請や将来の永住許可申請に悪影響を及ぼします。

なお、引っ越しをしたにもかかわらず在留カードの住所変更をしないで放置していると、こちらは退去強制事由ですので、在留カードについては甘くみずに様々なルールを別記事「在留カードとは」で確認しておきましょう。退去強制事由については別記事「強制送還とは」で解説しています。

社会保険や税も永住権に影響があるので別記事を確認してくださいね


 

東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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