【特定活動46号】の存在意義を「技術・人文知識・国際業務」と比較して検討してみた【徹底解説】

更新日 2021年6月15日

外国人雇用を検討されている方から、特定活動46号と「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の違いがよくわからないというお話をお聞きします。

それもそのはず、特定活動46号で従事する業務内容には、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていることが必要で、両者の職務はオーバーラップしているのです。

この記事では、特定活動46号だけを単独で解説するのではなく、技術・人文知識・国際業務(技人国と省略して呼称されます。)の在留資格との相違点にスポットをあてて解説していきます。

そもそも「特定活動」の在留資格がどのような在留資格であるのかとか、「指定書」とは何か、「特定活動告示」についてよくお分かりでない方は、別記事「特定活動とは」をあわせてご確認ください。

特定活動46号の最大のメリットは、部分的な非熟練労働が可能なこと

2019年5月に新設された特定活動46号は就労ビザの1種ですが、技術・人文知識・国際業務の在留資格との最大の違いは、非熟練労働ができるかできないかです。

ホワイトカラー向けの在留資格としてポピュラーな技術・人文知識・国際業務」では、非熟練労働(いわゆる単純労働)を一切することができません
たとえばホテルの通訳業務をともなうフロントスタッフとして技人国ビザで採用された外国人は、ベットメイキングをしたり、宴会場のセッティングをしたりといった仕事をすることは一切許されていません。
なぜなら、技術・人文知識・国際業務の在留資格で許される仕事は、学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務のみだからです。
したがってもし技術・人文知識・国際業務の在留資格をもつ外国人従業員がたとえ短時間であってもベットメイキングや宴会場のセッティングを行なえば、不法就労となり犯罪です。

しかしながら新設された特定活動46号では、非熟練労働のみを行なうことはできませんが、一定水準以上の業務が「含まれて」いればよく、部分的に非熟練労働をしても不法就労にはなりません

現実問題として、学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務のみを行なうというのは困難な現場も多いことから、これまでは技術・人文知識・国際業務で多くの制約を抱えていた企業が、技人国ではなく特定活動46号での採用をはじめています。
逆に言えば、もっぱら通訳業務に従事しているなど非熟練労働が一切含まれない職種であれば、特定活動46号を検討するメリットはなくなります。

非熟練労働を含んでよいというのは、ありがたいですね。

ガイドラインが示した特定活動46号で可能な非熟練労働の一例

飲食業のケース

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厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められませんが、飲食店に採用され、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うことができます(日本人に対する接客を行うことも可能です。)。

製造業のケース

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工場のラインで指示された作業にのみ従事することは認められませんが、ラインにおいて,日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うことができます。

小売業のケース

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商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められませんが、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客販売業務を行うことができます(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能です。)。

宿泊業のケース

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客室の清掃にのみ従事することは認められませんが、ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設・更新作業等の広報業務を行うものや、
外国人客への通訳(案内)を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うことができます(日本人に対する接客を行うことも可能です。)。

タクシー会社のケース

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タクシー会社において、車両の整備や清掃のみに従事することは認められませんが、観光客(集客)のための企画・立案や自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動することができます(通常のタクシードライバーとして乗務することも可能です。)。

介護業のケース

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施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められませんが、介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事することができます。

食品製造業のケース

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単に商品製造ラインに入り、日本語による作業指示を受け、指示された作業にのみ従事することは認められませんが、他の従業員との間で日本語を用いたコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ、自らも商品製造ラインに入って作業を行うことができます。

特定活動46号の最大のデメリットは対象者の範囲が狭いこと

特定活動46号の対象者は、日本の4年制大学を卒業または日本の大学院を修了し学位を取得したかたで、かつ、高い日本語能力を有する外国人に限定されます。
外国の大学や大学院で学位を取得したかたは対象ではなく、日本の短期大学卒業者や専修学校(専門学校)卒業者も対象ではありません。

一方、技術・人文知識・国際業務の在留資格の対象者は、外国の大学や大学院の学位取得者や日本の短大卒者も対象ですし、日本の専修学校卒業者にも道が拓かれています。

したがって、外国の大学・大学院の卒業・修了者や日本の短期大学卒業者、専門学校卒業者は、選択の余地なく、技術・人文知識・国際業務の在留資格の取得をめざすこととなります。

外国の大卒者や日本の短大卒者は含まれないところが、「技術・人文知識・国際業務」と異なるところですね。

特定活動46号の仕事には、日本語能力の活用が必要

特定活動46号にあって技人国にはない縛りは、日本語能力に関するものです。技術・人文知識・国際業務の在留資格においては、日本語能力のしばりはありません。
したがって、外国の大学を卒業してから来日し、日本語学校で1年間だけ日本語を学びまだまだ日本語が覚束なくても、技人国ビザを取得できる可能性があります。

しかしながら特定活動46号では、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有している必要があります。
それだけでなく、担当する業務において日本語能力を活用できなければなりません。すなわち、「日本語をもちいた円滑な意思疎通を要する業務」である必要があるのです。

日本語の勉強をがんばった留学生へのご褒美とも言えますね。

特定活動46号は、ビザ変更の申請なくして転職ができない

技術・人文知識・国際業務の在留資格の場合は、在留資格が認める職種の範囲内であれば、入管への申請をすることなく転職が可能です(ただし、次回の更新時に転職先で働くことが結果として不法就労であったと判明することを防ぐために「就労資格証明書」の申請を行ないます。)。

しかしながら特定活動46号の場合、パスポートに貼付された「指定書」に勤務先が記載されており、指定書に記載された以外の活動をすることができません。
よって、転職する際には、出入国在留管理局に対して在留資格変更許可申請をして許可をうけることが必要です。

このように、在留許可と勤務先がセットになっているために、転職するには在留資格変更許可が必要な在留資格は、特定活動46号以外に高度専門職1号があります。

このデメリットは雇用主側のデメリットではなく、外国人側のデメリットといえます。

まとめ

以上のように、特定活動46号が新設されたことで、これまでは決して許されなかった仕事を合法的に行なうことができるようになりました。
しかしながら一方で、その仕事に就くことができるのはごく一部の留学生にかぎられます。

このことはそもそも特定活動46号の制度目的が、日本の大学卒業者に対する「就職支援策」であることの帰結なのです。

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東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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