難民申請中の外国人と結婚し配偶者ビザを申請するときの注意点について【徹底解説】

更新日 2021年6月15日

難民申請中の外国人と結婚したいのだがどうしたものだろうかというご相談をしばしば頂戴します。
難民申請中のかたは未だ難民と認められたわけではないという不安定な地位におられ、また、審査の結果、難民として認められる確率は1%未満です。

このようなことから、難民申請中のかたの大半は、いずれは難民不認定の結果を得て、母国に帰ることが予想されます。一次審査の結果が出るまでにかかる平均的な期間はおよそ10カ月程度であり、不服申し立てに対する結果がでるまでの平均期間は、約2年(23か月)です。

この記事では、難民申請中の外国人とのご結婚と、その後の配偶者ビザ申請についてご説明します。

難民申請中の外国人と結婚するときのハードル

難民申請中の外国人と日本人が結婚をされるときには、他の目的で日本に在留している外国人と結婚するときと比べてハードルがあります。しかしながら、筆者の経験では多くの場合、このハードルは超えることができます。

難民申請中の外国人との結婚のハードル

書類収集におけるハードル

難民申請中であるか否かにかかわらず、日本人と外国人とが結婚するときには、外国人が母国の法律に照らして結婚することができる旨を証明する必要があります。
難民申請中であるとご本人が母国に帰って結婚のための書類を収集することが法的にも現実的にも難しいため、この点がハードルになることがあります。

法律面では、難民申請中の外国人には「みなし再入国」制度の適用がないため、在留カードを所持していても自由に外国と日本を行き来するというわけにはいきません。
また現実的にも、難民とは母国において迫害を受けるおそれがあって日本に逃げてこられた方をいいますので、おいそれと帰国することができないはずなのです。

ただし、母国にいらっしゃるご親族が、ご本人ために書類を収集し郵送で送ってくれることが大半で、筆者の経験では実際にこれのみが原因で結婚できなかったカップルは少ないです。

婚姻要件具備証明書は、現地のご家族から郵送してもらえばよいわね。

本国での結婚登録にかんするハードル

国際結婚は、日本国だけでなく、相手国においても成立させる必要があります。このとき、日本で結婚が成立すると自動的に相手国でも結婚が成立する国もありますが、そうでない国もあります。

前者であれば問題は生じませんが、結婚をお考えの外国人が後者の国籍である場合、母国での結婚が完了しないことがあります。
母国での結婚が完了しないということは、母国ではお相手はまだ独身であるということで、これを「跛行婚(はこうこん)」といいます。

配偶者ビザの申請では、日本だけでなく、相手国でも結婚が完了していることの証明書が求められるの。

難民申請中の外国人が配偶者ビザを申請するときのハードル

法務省のレポートによると、難民申請全体のうち、難民に明らかに該当しない申し立てが全体の半数以上を占めているとされています。
例として挙げられているのは、知人や近隣住民、マフィア等とのトラブルや、親族間の遺産相続や夫婦喧嘩、本国の治安に対する不安などが挙げられています。
したがって、まずはお相手の外国人が、どのような申し立て内容の難民申請をしているのかを的確に把握する必要があります。

難民申請中の外国人であっても、就労が許可されている状態であれば、まだ入管として判断がつきかねているという状況です。
いっぽう、就労が許可されてない難民のかたの場合は、初回申請直後の振り分け期間(2か月を超えない期間)を除き、入管が申請内容を怪しんでいる状況であることが多いです。

すなわち、初回申請後の振り分けによって、難民条約における「迫害」に明らかに該当しないと判断されたB案件の申請人には就労許可が与えられませんし、再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返していると判断されたC案件の場合も、就労許可が認められません。

また、現に有する在留資格に該当する活動を行なわなくなった後に難民申請をしたり、出国準備中の特定活動の在留資格である期間中に難民申請をしたときにも就労は許可されません。

したがって昨今の難民申請制度の運用においては、入管が強く怪しんでいる案件の難民申請者には就労許可が与えられない運用がなされていますので、まずはご結婚相手の外国人に就労が許可されているかをご確認されることをお勧めします。

さらに、難民申請中の外国人の方は大半は正規の在留資格をお持ちですが、一部の外国人のかたは在留資格をお持ちではなく、退去強制手続きにのってしまっている方もおられます。このようなかたは、仮放免の許可をえて、例外的に入管の外で生活されている方が多いです(仮滞在許可の例外あり。)。

いずれにせよ難民申請中の在留資格から配偶者ビザへの申請は、最終的にほとんどの方が難民ではないと判断されている状況からするとハードルが高いですので、ビザの専門家との相談を綿密におこないましょう。

母国で迫害をうけていないのに、日本で働くために難民であると主張して難民申請をすることは犯罪なの。

難民申請中の外国人の来日時の在留資格について

難民申請をされた外国人が最初に来日されたときの在留資格も重要です。難民申請中の外国人のなかで少なくない数のかたが技能実習生として来日されていますが、技能実習生はそもそも母国の国家機関から「推薦」をうけ選抜されて来日されています。そうすると、母国の国家機関から推薦をうけて選抜されて来日しているのに、母国の国家機関から「迫害をうけていた」という主張はなかなか難しいものがあります。
さらには、技能実習先の企業から失踪した後に難民申請をされておられる方もあり、このようなケースでは入管の厳しい反応が予想されます。

また、これまで普通の留学生として生活していたのに、卒業したとたんに帰国したくないので本当は難民ではないのに難民申請をされるかたがいらっしゃいますが、犯罪です。

このように、難民申請をされた外国人が来日当初、なんの在留資格をおもちであったかについても、在留資格ごとの個別の検討が必要となります。

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東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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