更新日 2021年6月15日
日本人の学生を4月1日づけで新卒採用する場合には、極論をいえば3月31日までに採用を決定すればまにあいます。
しかしながら留学生の場合には、就労ビザを取得してからでないと働き始めることができませんので、在留資格に配慮しながらの採用となります。
この記事では、留学生を新卒採用するときのオードックスな段取りについて解説します。
目次
留学生を新卒採用するときの大まかなスケジュールと在留資格について
前年春:説明会/選考

留学生が大学4年生に進級する春ごろから、会社説明会をおこない、同時に選考をすすめていく会社が多いです。
入社前々年(大学3年生)にサマーインターンシップなどで優秀な学生さんとの接触の機会をもうけていらっしゃる会社も多いはずです。
前年10月:内定式
大手企業の場合は6月には内々定を出し、多くの会社が10月には内定式を行なうでしょう。
留学ビザで在学中の留学生ではなく、前年の3月にすでに卒業し、就職活動のための特定活動ビザで日本に滞在している元・留学生に内定を出したときには、就職活動のための特定活動ビザを、内定待機の特定活動ビザに変更する必要がありますので、該当者には声をかけてあげましょう。
内定者が入社までの待機期間を過ごすための在留資格「特定活動」については別記事「内定待機のための特定活動ビザ」でくわしくご説明していますので、そちらをご参照ください。

前年12月:就労ビザの申請

前年の冬には就職活動を終了している学生さんが多いはずですが、この時期に内定を出したとしてもまだ翌年4月1日の入社には十分間に合います。
前年の12月ごろから、留学ビザから就労ビザへの変更申請が可能となります。
この時点では卒業をしていませんので、就労ビザの要件の1つである「学位」の証明をすることができないケースが多いですが、「卒業見込み証明書」を提出することにより申請は受付されます。
就労ビザについては別記事「就労ビザとは」でくわしく解説しています。
当年3月:卒業式
卒業式がすんだら、無事に卒業できたことを出入国在留管理局へ報告し、その確認をうけて就労ビザが許可されます。
なお、留学生がアルバイトをするために必要な「資格外活動許可」は在学していることが前提のため、卒業と同時に無効となります。卒業してから入社までの期間は従来していたアルバイトを含め仕事をすることができませんので、留学生にはその旨を伝えます。すでに資格外活動許可が無効となっていることを知らないで卒業後もアルバイトをつづけてしまうと不法就労ですので、下手をすると退去強制となります。くわしくは別記事「資格外活動許可」でくわしく解説しています。
入管は就労ビザの要件の1つである卒業の確認以外のところまで審査を済ませておき、学位の取得が確認でき次第、許可する段取りです。
当年4月:入社
入社日までに就労ビザが許可されていれば、4月1日付で入社して勤務を開始することができます。逆に許可が間に合わなければ、許可されるまでは入社できません。
多くの会社が留学生との間に締結した雇用契約書において、就労ビザが許可されることをもって雇用契約の発生条件(法律用語で「停止条件」といいます。)としているはずです。
そのような契約をした場合には、実際にも、就労ビザの許可がおりないうちは雇用関係そのものが成立していません。
入社したら、社会保険の手続きを行ないます。外国人の社会保険加入については、別記事「外国人の社会保険」でくわしくご紹介しています。
まとめ
卒業してからでないと就労ビザを申請できないと勘違いしていると、4月入社にはほぼ確実に間に合わないはずです。
入管は前年の12月から就労ビザへの変更申請を受け付けている以上、間に合わなければ申請者側の事情によるものですので、入社日を後ろにずらしましょう。
