ワーキングホリデーでアルバイト中の外国人を正社員としてフルタイム雇用したいときの注意点について【徹底解説】

更新日 2021年6月14日

すでに自社・自店でアルバイトをしてくれているワーキングホリデーで日本に滞在している外国人を、ぜひとも社員として採用したいという場合には、どんな点に気を付けるべきなのでしょうか。

法律上、ワーキングホリデー中の外国人がアルバイトで働くことができる職種と、就労ビザが許可される職種とでは、大きな違いがあります

この記事では、ワーキングホリデーでアルバイト中の外国人を社員としてお迎えするさいのポイントについて解説します。

ワーキングホリデー中のアルバイトに法律上の制限はほとんどない

ワーキングホリデーの中心は「休暇を過ごす活動」

そもそもワーキングホリデーとはどのような活動をいうのでしょうか。

ワーキングホリデーとは、「日本文化および日本国における一般的な生活様式を理解するため、日本において一定期間の休暇を過ごす活動」のことをいいます。そして、この休暇を過ごす活動のために必要な「旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動」が許されています。

このように、ワーキングホリデー中の外国人がアルバイトをすることができるのは、あくまでも休暇を過ごす旅行資金を補うために必要な範囲内なので、フルタイムの契約社員になるようなことは想定されておらず、アルバイトとしてパートタイム雇用契約を結ぶことになります。

なお、ワーキングホリデー中の外国人は、特定活動という特殊な在留資格を与えられており、くわしくは別記事「特定活動ビザ」で解説しています。

ワーキングホリデーは「ホリデー」が中心なのね。

ワーキングホリデー中のアルバイトにかんする法律上の制限

ワーキングホリデー中の外国人は、ほとんどあらゆる業種で働くことができますが、風俗営業にかんする業種で働くことはできません。ここでいう風俗営業は「性風俗」にかぎられませんので、スナック、キャバクラはもちろんのこと、パチンコ店やゲームセンターなどで働くこともできません。

なお、ワーキングホリデー中の外国人には、留学生のようなアルバイトの時間制限が法定されていません。そこでフルタイムに近い雇用形態で働いている方もおられるようですが、あくまでもワーキングホリデー中の外国人は「休暇中」なのだという大前提を押さえておく必要があります。
「旅行資金を補うために必要な範囲内」での就労が付随的に認められているに過ぎないことに留意しましょう。

ワーキングホリデーは、風俗営業でなければ職種を選ばずアルバイトできるのね。

そもそも就労ビザが認められない職種がある

無断転載を禁ずる

上述のように、ワーキングホリデーで日本に滞在中の外国人がアルバイトとして働くぶんには、法定の時間制限もなく、業種や職種にもほとんど制限はないのですが、就労ビザは細かくカテゴライズされており、それぞれの就労ビザごとに、働くことができる業種と職務内容が決められています。

たとえばコンビニエンスストアではワーキングホリデー中の外国人を含めた多くの外国人がアルバイトをしておりこのこと自体は合法ですが、コンビニの品出しやレジ打ちといった仕事のみをすることが認められる就労ビザはありません。

ワーキングホリデー中のアルバイトの外国人は、広範な業種・職種でアルバイトをすることが認められています。
しかしながらフルタイム雇用となると、その職業を外国人に解禁することが日本の国益に合致するかという別の観点から、広範な法律上の制約が設けられています。

したがって、ワーキングホリデー中の外国人を卒業後に契約社員や正社員として採用したいというときには、業種・職務内容が就労ビザの対象であるかどうかを確認する必要があります。

ワーキングホリデーでアルバイトすることはできても、就労ビザでは働くことができない職種があるのね。

ワーキングホリデー中の外国人の学歴・職歴・経歴により、申請できる就労ビザが異なる

学歴不問で申請できる就労ビザ「特定技能」

特定技能ビザ

たとえば御社で働いているワーキングホリデー中の外国人が母国で大学や大学院を卒業・修了していればその学歴を活用できますが、そうでない場合は、学歴不問の就労ビザを検討することになります。

学歴不問の就労ビザとして在留資格「特定技能」がありますが、このビザの対象は政府の指定を受けた特定の14業種にかぎられます。
14業種とは、介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業,建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業です。

御社がこれらの業界・業種に該当している場合は、アルバイトで働いているワーホリ中の外国人が特定技能ビザを取得してワーホリ終了後も働くことができる可能性があります。

特定技能ビザについては、別記事「特定技能」でくわしく解説しています。

ホワイトカラーやエンジニアのための就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」

ワーキングホリデー中の外国人が身につけた語学力やITスキルなどを活かして「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働く場合には、大学卒業以上であることが求められます。この場合、学位を取得した大学や大学院は外国の学校でかまいません。

技術・人文知識・国際業務の在留資格については、別記事「技術・人文知識・国際業務」でくわしく解説しています。

受入れ準備としての雇用契約

就労ビザは、どの企業にどんな条件で就職することになったのかを雇用契約書等で証明しないと取得することができません。このため、就労ビザが許可されていない段階で、御社とフルタイムの雇用契約を締結する必要があります。

しかしながら御社としては、ビザ変更が許可されていない段階で社員としての雇用契約を締結しなければならないことに抵抗を感じるかもしれません。このような場合には、ビザ変更が許可されることを雇用契約の効力発生要件(これを法律用語で「停止条件」といいます。)とすることで対処できます。

なお、特定技能ビザで受け入れる場合は、「特定技能雇用契約」という特別の雇用契約を締結する必要があります。
特定技能雇用契約については、別記事で詳しくご説明していますので、そちらをご参照ください。

受入れ準備としてのビザ変更申請

ワーキングホリデー中の外国人を社員として採用するときに特有の注意点としては、外国人の国籍によってはビザ変更申請をすることができないということです。

ワーキングホリデーの制度は、日本と相手国との間の協力覚書や口上書によって内容が個別に決められています。その相手国と日本との個別の取り決めにおいて、帰国することなく日本で就労ビザを申請することができる国とできない国があるのです。

母国にいったん帰国することなく就労ビザへの変更申請が受理される可能性がある国は、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、韓国です。

ワーキングホリデービザから就労ビザへの変更許可申請が認められていない国の出身者(フランス、イギリス、アイルランド、デンマーク、台湾、香港、ノルウェー、ポルトガル、スロバキア、ハンガリー、スペイン、アルゼンチン、チリ、アイスランド、チェコ、リトアニア)の場合は、ワーホリビザの期限ぎりぎりになって採用が決まっても、いったん母国へ帰国して再入国する以外の方法がのこされていないこともあります。このあたりの判断は、ビザ専門の行政書士に相談しましょう。

まとめ

ワーキングホリデーは法定の時間制限もなく、資格外活動許可を取得すればほとんどの業種・職種で働くことができますが、外国人がフルタイムの社員として働くことができる業種と職種には大幅な制限があります。

自社での仕事で就労ビザが許可される可能性があると判断したときには、雇用契約を結びます。このとき、就労ビザが要求する雇用条件を満たすようにします。

その後、出入国在留管理局へビザを変更する申請(在留資格変更許可申請)をしますが、国籍によってはそれができない国もあるので要注意です。

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東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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