更新日 2021年6月14日
新型コロナウイルスの影響で、就職先を解雇された外国人や、技能実習の継続が困難になった技能実習生、採用内定を取り消された留学生などが数多くいらっしゃいます。
これらの方が、特定技能ビザの対象となる特定産業分野の企業と雇用契約を締結した時は、まだ特定技能試験に合格していない段階であっても、「特定活動(就労可)」の在留資格で仕事をすることができます。
特定技能試験に合格しなければ「特定技能1号」の在留資格は取得できませんが、その代わりに最大1年の「特定活動」の在留資格をみとめ、この期間内に特定技能試験に合格することができるだけの知識と技能を身につけてもらおうというわけです。
この記事では、特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能等を身につけるための特定活動ビザについて解説します。
目次
ポイント

特定技能ビザを取得するために必要な特定技能試験にまだ合格していなくても、特定産業分野の企業と雇用契約を締結したときは、「特定活動(就労可)」の在留資格を申請することができます。

特定技能ビザとは

在留資格「特定技能」とは、日本において人手不足が深刻化している特定の産業分野(現在は省令が指定する14分野)において、これらの分野にかんする相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有する外国人が、これらの技能を要する業務に従事して働くために新設された在留資格です。
国はこれまで認められてきた専門職の範囲を拡大したものと説明していますが、実質的には、これまでは非熟練労働(単純労働)として受け入れが認められてこなかった職種に外国人が就労することが認められたものと受け止められています。
入管法上も、相当程度の知識又は経験を必要とする技能をもちいて遂行する「主たる業務」のほか、主たる業務と併せて行う場合にかぎってこれに関連する非熟練業務に従事することが認められる可能性が用意されています。
特定技能ビザについては、別記事「特定技能とは」でくわしく解説しています。
特定技能ビザを申請するための条件
特定技能ビザを申請するための条件の1つが、1号特定技能外国人に求められる技能水準および日本語能力の立証です。これを立証する手段が、特定技能試験と日本語試験への合格です。
ただし、関連する職種の技能実習2号を良好に終了した外国人は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。また、関連しない職種の技能実習2号を良好に終了した外国人は、技能試験は免除されませんが、日本語試験は免除されることとされています。
新型コロナウイルスに伴う特例措置の特徴
上述のように、特定技能ビザを申請するためには技能試験と日本語試験に合格しなければなりませんので、合格するまえの段階では特定技能ビザを申請することはできません。
しかしながら、新型コロナウイルスの影響で就職先を解雇された外国人や、技能実習の継続が困難になった技能実習生、採用内定を取り消された留学生については、突然のことで特定技能試験に合格できるだけの能力を身につけていないかたも多いことでしょう。
そこで、特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能等を身につけるための在留資格を特例措置として認めることとしたのです。
要するに、特定技能試験や日本語試験に合格していないのに、最大1年にかぎって、特定産業分野ではたらくことが認められる可能性があります。
新型コロナウイルスの影響にかかる特例措置の対象者について
この措置の対象者は、次の①から③のすべてに該当する外国人です。
①特定産業分野の企業とすでに雇用契約を締結した外国人
②特定技能の業務に必要な技能を身につけるために在留を継続することを希望する外国人
③つぎのいずれかに該当する外国人
・解雇等されたために、実習の継続が困難となった技能実習生
・解雇等されたために、就労の継続が困難となった外国人労働者
・採用内定を取り消された留学生
・技能実習を終了したが、帰国が困難となった外国人
許可されるのは特定活動ビザ(最長1年)
許可されるのは特定活動という在留資格です。特定活動の在留資格は、他の在留資格には該当しないが日本として受け入れる必要がある外国人のための受け皿として用意されています。

特殊な在留資格であるため、別記事「特定活動とは」で解説しています。
