留学生が卒業して得た学位により異なる、就労ビザの種類について

更新日 2021年6月14日

留学生が取得した学位によって、その後に取得することができる在留資格が異なります。かつては大学以上の学歴がないと日本で就職することができませんでしたが、その後は専門学校の卒業生にも就職の道が開かれました。さらには2018年の入管法改正によって、日本語学校の卒業生にも日本での就職に道が開かれました。しかしながら、就職できる職種はおなじではなく学歴により異なります。

この記事では、留学生が卒業後にどのような仕事につくことができるのかについて解説します。

日本または外国で、博士、修士、学士の学位を取得した留学生

日本または外国の大学大学院で博士、修士、学士の学位を取得された方は、「技術・人文知識・国際業務」など在留資格ごとに設けられた要件をみたすことにより、日本においてエンジニアやホワイトカラー職種など専門的な職業に就くことができます。

就労ビザについては別記事「就労ビザとは」、事務系職種やホワイトカラー職種については別記事「技術・人文知識・国際業務」でくわしく解説しています。

これらの学位を取得した学校は、日本の大学・大学院であると外国の大学・大学院であるとを問いません。したがって、日本では日本語学校しか卒業していなくても、母国で大学を卒業している留学生には、広範な就職の道が拓けています。

さらに、大学院の課程を修了し学位を取得されている場合は、ポイントが加算されるため、「高度専門職」の在留資格を取得できるかたもいらっしゃいます。

高度専門職の在留資格については別記事「高度専門職ビザ」でくわしく解説しています。

短期大学も、大学として扱われています。

日本の専門学校で、専門士、高度専門士の学位を取得した留学生

日本の専門学校高度専門士専門士の学位を取得した留学生についても、「技術・人文知識・国際業務」など在留資格ごとに設けられた要件をみたすことにより、日本においてエンジニアなどの専門的な職業に就くことができます。ただし、専門士、高度専門士については、専門学校で学んだ内容と就職先の業務内容とのあいだに強い関連性が求められます。専門学校で学んだ内容と関連のない職種に就職することはできません。

就労ビザについては別記事「就労ビザとは」、事務系職種やホワイトカラー職種で求められる専攻と仕事内容との関連性については別記事「技術・人文知識・国際業務」でくわしく解説しています。

また、日本の専門学校を卒業することが必要であり、外国の専門学校を卒業した場合はこれに該当しません。

外国の専門学校を卒業した方は、技術・人文知識・国際業務の在留資格の対象とされていません。

日本の専門学校を卒業したが、専門士、高度専門士の学位を取得しなかった留学生

日本の専門学校を卒業したものの、専門士または高度専門士の学位を取得していない留学生は、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格が認める専門的な職業に就くことはできません。

しかしながら、2018年の入管法改正により、学歴不問の就労ビザである「特定技能」が新設されましたので、特定技能ビザがみとめる職種への就職ができるようになりました。以前は、専門学校を卒業後に日本で仕事をしたいがために違法な難民申請をされる学生さんもいらっしゃいましたが、就労への正式なルートが開けたことで、今後は少なくなるだろうと予想されています。

特定技能の在留資格については、別記事「特定技能」でくわしく解説しています。

特定技能の在留資格ができたことで、就職に正規のルートが開かれました。

日本語学校を卒業した留学生

あまり知られていませんが、「日本語学校」という呼称は日常用語であって法律用語ではありません。日本語学校の多くは、学校教育法上の位置づけがない「各種学校に準ずる」教育機関です。このため通常は、日本語学校を卒業しても学位を得られることはありません。

母国で大学を卒業してから来日した留学生は、日本では日本語学校しか卒業していなくても、外国の学位をもちいて「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を申請することができます。

また日本語学校を卒業して日本の大学に進学した留学生は、日本の大学の学士を取得すれば、その学位をもちいて「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を申請することができます。

就労ビザについては別記事「就労ビザとは」、事務系職種やホワイトカラー職種については別記事「技術・人文知識・国際業務」でくわしく解説しています。

母国で大学や大学院を卒業・修了していない日本語学校の卒業生は、2018年の入管法改正により新設された学歴不問の就労ビザである特定技能ビザがみとめる職種へ就職することが可能です。以前は、日本語学校を卒業した後に日本で仕事をしたいがために違法な難民申請をされる学生さんもいらっしゃいましたが、就労への正式なルートが開けたことで、今後は少なくなるだろうと予想されています。

特定技能の在留資格については、別記事「特定技能」でくわしく解説しています。

学歴不問の就労ビザ

就労ビザのなかには、学歴不問の在留資格があります。ひとつは特定技能ビザであり、もうひとつは経営管理ビザです。また、いわゆる技能職(料理人やスポーツ選手、デザイナーなど)においては学歴ではなく職歴・実務経験が重視されます。

腕のよい料理人やスタートアップ企業の創業者など、実力を学歴で測ることができない仕事もありますよね。

特定技能ビザ

特定技能ビザは、人手不足が深刻化している特定の産業分野にかぎって、従来は単純労働者として受け入れをみとめてこなかった職種での就労を可能とする在留資格です。特定技能1号がみとめられるためには、相当程度の知識と経験を必要とする技能を有していることが必要で、この有無は試験によって確認されます。

試験により技能の有無が確認されるため、学歴は不問です。特定技能の在留資格については別記事「特定技能ビザ」でくわしく解説しています。

経営管理ビザ

経営管理ビザは、会社の経営者や管理職として働くために必要となる在留資格です。この在留資格を取得するためにも学歴は不要です。

米国マイクロソフト社を創業したビル・ゲイツ氏、アップル社創業者のスティーブ・ジョブズ氏、フェイスブック社のマーク・ザッカーバーグ氏は、大学中退者であることは有名です。また日本でも本田宗一郎やパナソニック創業者の松下幸之助はいずれも学校における高等教育を受けていません。

これらの例をみるまでもなく、起業家の資質として学歴が必須の要素でないことは明白です。このような事情から、経営管理ビザには学歴要件が設けられていません。

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東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート行政書士事務所を開業。業歴は10年を超える。専門は入管法、国籍法。
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